若い女性が怪しげな占い師の庵に行ったまま帰ってこない。
小さな編プロに持ち込まれた相談から、一人の女性編集者がその庵への潜入取材を試みる——!
カルトや霊感詐欺に嵌ってしまう人の心理が非常にリアルでした。
「これはインチキだ」と分かっていても、言葉巧みに心理誘導され、相手のペースに呑まれていく織田さんの様子にハラハラ。
同時に、これは誰しも付け入られる可能性があることなんだなと実感し、ゾッとしました。
次第に明らかになる、悍ましき占い師の実態。それらを全て白日の元に暴き出していく第三幕は圧巻で、本当に読む手が止まりませんでした。
リアリティある心理描写に、宗教的な知識もふんだんに盛り込まれ、読み応え抜群!
また、ほんのりある恋愛パートでも、織田さんにがっつり感情移入しました。
明るい希望の開けるラストに、爽やかな読後感です。
どれほど特別な力があっても使う人の心次第であり、自分の心を揺さぶられないように気を付けねばと教訓も得ました。
最初から最後まで面白かったです!!
知人の女性が占い師のもとに行って帰ってこない!?
女性を助けに行くために客を装って潜入取材するところからスタートします。
しかし相手は僧侶。複数の若い女性を洗脳して従わせる話術に飲み込まれ、一筋縄では行きません。しかも主人公自身もマインドコントロールされかけます。
僧侶の起こす超常現象は、実際に信者を従わせるのに充分なパワーを持っていますが、科学的に解明しながら、不正を暴いていきます。
通常、宗教やオカルトときたら、どこかファンタジー的な要素が入りやすいと思うのですが、あくまで現実的に問題を解決していきます。
文章は非常に読みやすく、要所で専門用語も登場はしますが、読み手にストレスをあまり与えることなく読み進められます。