ただよう雲に寄せて

シュークリームのようなまるい雲がひとつ

海原のように広いこの青空に

ぽっかりと浮かんでいる

午後の光に照らされて

気持ちよさげにからだを横たえている

わずらいもなく、憂いも見せず、

雲はただ空に浮かんでいる


雲は空をただよう

風に吹かれるにまかせてどこへでも飛んで行く

ビルが並み立つ大都市の上

緑に覆われた山の上

大陸の上、大洋の上、

遠く離れたよその国の上を自由気ままに旅する

雲を縛るものは何もない

山脈や海峡のような物理的障壁も

国境や軍事境界線のような人為的なルールも、

雲は軽々と超えてゆく


雲は俗事をも超越する

雲をわずらわせるものは何もない

明日の暮らしを心配する必要もない

私たちの抱える悩み苦しみも、雲は持たない

悲しみもなく、憂いもない

真っ白なその姿よ、

けがれなき姿よ


風に運ばれるままに日々を送る

昼は太陽の光を一身に浴びて、

夜はささやかな星のきらめきに見守られて

雲は旅を続ける






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