エマヌエルの天使と悪魔

■ 概要


〈チアキ〉の深層心理である破滅願望と生存本能(救済願望とも言う)を核に作られたクレイドル・システムにおける仮想的な人格。

精神世界のチアキにとっての「天使と悪魔」。


アスカ(後述するが、正確にはセラ)が生存本能(希望)、ハイネが破滅願望(絶望)を核にしている。


また、アスカに真実と本物を好む傾向が、ハイネには嘘と偽物を好む傾向が根底に置かれている。


■ 人格設定


初期設定として、この二人には、「チアキを好き」という感情が埋め込まれている。

これは、この二人が持つ両極端な深層心理を精神世界のチアキが受け入れやすくするため(自分を好いてくれている人の意見なら耳を傾けやすいだろうと〈チアキ〉が判断した)。

また二人の性格も、〈チアキ〉しいてはチアキが好意的に思うものとなっている。


ハイネは「かっこよくて頼りがいのある気のいい理想の兄ちゃん」。

アスカは「大人しくて清楚可憐で優しい理想の恋人」。


なお、人格設定は、後天的に変化する余地を残している。


「チアキを好き」の部分は基本的に変えられないが、ハイネがチアキを途中で嫌いなったことがあるため、完全に変えられないわけではない。


■ アスカとハイネの目的


ハイネは、チアキが「自分が生きる世界が精神世界であることを知りながら、精神世界で生き続けることを受け入れる」もしくは「真実を知って世界に絶望した時」にチアキを殺すよう設定されている。


※1) 精神世界のチアキの死(=現実世界の〈チアキ〉の精神的な死)を引き金に、〈チアキ〉を除いたクレイドル・システムで眠る百万人の生命を維持している〈オルフィレウスの泉〉との接続が完全に遮断する。

クレイドル・システムはそのままに、人々は目覚めることなく安楽死する仕組みである。


逆に、チアキが精神世界から目覚めて生きることを決意した場合は、アスカの記憶が解放され、〈創造の大樹〉の終層にある〈玉座〉に行く方法が開かれる。そこで、チアキを鍵としてクレイドル・システムを終了させ、人類を目覚めさせる手順となっている。


※2) 精神世界で死んだ場合は、現実世界で生きている限り、再度、精神世界に生まれる仕組み(輪廻転生)になっているが、チアキのみ例外となっている(精神世界のチアキの死は、現実世界のチアキの精神的な死を意味するため)


つまり、精神世界のチアキが死んだ場合、人類は目覚めない。


ただし、魔法の使用者(=クレイドル・システムの構築者)である現実世界の〈チアキ〉が何者かに物理的に殺された場合は、その限りではない(=クレイドル・システムが終了する)

これは〈チアキ〉の迷いの現れであり、審判と関係ないところでクレイドル・システムに万が一何かあった時に外部から強制終了させる唯一の方法として残した。いわば保険で最終措置。


アスカはチアキに希望を抱かせ、クレイドル・システムを終了させ、人類を目覚めさせるのが目的。

ハイネはチアキに絶望を抱かせ、クレイドル・システムを永続させ、人類を永遠の眠りにつかせるのが目的。


■ チアキと二人が接触した時期と、その理由


アスカは、〈チアキ〉が作ったクレイドル・システム内の仕掛け(参照:https://kakuyomu.jp/works/1177354054895387106/episodes/1177354054895387268)を引き金に、精神世界に登場するようになっていた。


ハイネはクレイドル・システム当初より精神世界にいて、チアキの兄として登場し、同居している。

ハイネがアスカより先にチアキと一緒にいたのは、チアキが――すなわち、審判者として正常な判断力を残しているチアキが、両極端な思想を持つ二人に同時に出会った場合、ハイネの方が真っ向から否定される可能性が高いため。


健全な環境で育ったところに、破滅願望という異質なものを突き付けた場合、精神世界のチアキが拒絶する可能性が高いのに対し、逆はその限りではないと〈チアキ〉が判断したためでもある。

チアキの精神世界での設定が、両親が事故死しているなど、やや不遇であるのはそのため。

また、緩くではあるものの日常的にハイネの持つ破滅願望に慣れさせる(刷り込みともいう)ために、ハイネと同居させていた。


上記の措置は、あくまで審判の上で、〈チアキ〉が公平を期すためのもの。


※3) ハイネが「ちーちゃんを好きな僕より、ちーちゃんを嫌いな君(アスカ)の方が不利だ」という台詞を冒頭でアスカに言う(予定)だが、実際のところ、不利だったのはアスカよりもハイネだったという皮肉を含む。


■ その他の特徴


〈エマヌエルの天使と悪魔〉であるハイネとアスカは〈法石〉や〈ヴァルテン機関〉を通さずに魔法が使える。


理由は、彼ら二人ともが直接、〈創造の大樹〉と繋がっていて、自由自在に事象を引き出せるから。彼ら自身が〈法石〉そのもののようなもの。


また、〈創造の大樹〉への知識量も半端なく(もとより二人とも精神世界の創造主である〈チアキ〉であるため)一般人より遥かに早い速度で事象を引き出すことが可能。当然、〈ヴァルテン機関〉を経由しないので、お金もかからない。

そのことが周囲およびチアキにばれないように、普段は、二人とも〈法石〉を操作しているフリをしている。

ただし、アスカは本当に〈法石〉を使用しないと魔法を使えない。

(登場人物・アスカ参照:https://kakuyomu.jp/works/1177354054895387106/episodes/1177354054895387748


彼らが、そのように設定されているのは、いざという時にチアキを守るため。審判が終了するまでは、鍵であるチアキが生きているのが必須条件だから。


〈創造の大樹〉の内部以外で、この世界が精神世界であることを言えないようロックがかかっている。


〈エマヌエルの天使と悪魔〉は、自分たちが〈エマヌエルの天使と悪魔〉であるということを自覚し、認識している。


■ クレイドル・システム終了した場合


〈エマヌエルの天使と悪魔〉であるこの二人は、クレイドル・システムの終了とともに消えるようになっている。元は、〈チアキ〉の精神を分裂させたような存在であるため、〈チアキ〉が魔法で作った精神世界が消えると消えてしまう。


※1) 生存本能(生きたいという意志)を持っているアスカのしようとしていることが、自らの死(クレイドル・システムの終了)を招くことであるという皮肉を含むと同時、破滅願望(死にたいという意志)を持っているハイネのしようとしていることが、自らを生き永らえさせる(クレイドル・システムの永続)ことである矛盾を含む(参照EP:https://kakuyomu.jp/works/1177354054895387106/episodes/1177354054895388865



【語源】


エマヌエル(Emanue)⇒ ヘブライ語より「神は我々と共にある」。

あるいは、神学者エマヌエル・スウェーデンボリーより。

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