或る世界にて
風宮 詩音(かぜみや しおん)
或る日
眩しい光はどこからか。小さな窓から日を探す。
真上で見下ろす奴を見て、起こすなと
雨と
小さな扉は錆び始め、ギギギと不穏な
心地よい風が吹き抜けば、降り注ぐ日の熱も消え、ぼやけた頭も
昨夜の米を少し食い、
草が伸びた土手の上、雨で増えた川と行く、何かを
橋の名前は何という、文字は欠け土が埋め、
停まる車から擦り寄る猫よ、餌を
角を右行き左行き、ビル抜け家抜け段差を越えて、少し背伸びで来てみたは、来たことのない遠い店、少しお
窓もグラスも
気分も冷めて店を去る、腹の鳴るままコンビニへ、赤いマークは好きではないが、腹のためなら仕方ない。
レトルトカレーとレトルトご飯、いくつか鞄に詰めこんで、来た道帰るは主婦気分、お出かけですかと話す相手はいなくとも、ちょっと買い物と笑いたい。
猫はどこやら見当たらぬ、伸び行く影に
影も背伸びの夕方よ、少し待っても良いのでは、ゆっくりしててもいいのでは、私はまだまだ元気だぞ、まだまだ遊べる
仕方がなく泣く目指す
ならばいいさと開き直ろう、橙バックに黒い人、歩く姿は
夕日と溶け合う色の壁、小さな穴をするっと通り、やはり落ち着く
熱々ご飯に甘ーいカレー、冷たい麦茶を飲み込めば、身体の疲れもどこへやら、余計に元気がやってくる。
日で作られた電気を流し、日の無い世界を
街から運んだ本の山、上から一冊抜き取って、
人の暮らす観覧車。
ここは夢の国。橙と黒の
本読み物
全てを忘れた訳ではないが、好まぬ記憶は
夜空を埋める星々よ、この世には、あと何がある。
どうして私は一人きり、なにもわからず生きている。
母よ父よ妹よ、周りの人もきぐるみも、赤く散ってどうしたの、世界を染めてどうしたの、何故私だけ置いてくの、赤い世界に一人だけ、私が何かしでかした?私が誰かを怒らせた?
謝る謝る土下座でもする。死んでもいい殺してもいい、むしろ死に方すら忘れた私を
だから、、、置き去りにしないで、皆戻ってくるか、、私も連れていって。
お願い、、、お願い、、、怖いよ、、、寂しいよ、、、、、神さ、、ま、、、、
夜空埋める星の内、一際明るいでかい星、それがピカッと更に光る。
眩しさすらあるその光、何故か元気が溢れ出る。
今が
だから眠いしもう寝よう、明日は起きたら街に行こう、少し背伸びもしてみたい、お洒落な店に行ってみたい。
明日は早起きしなくちゃと、手元の本を山の上に乗せ立ち上がる。
灯りと火を消し、ランタンを持ち、寝床へ歩くアスファルト。
ゴンドラの戸がガガガガガ、おもしろい声でで鳴いている、大人数用ゴンドラは、一人で使えば立派なお部屋。
目覚まし時計はないけれど、なんとか起きれる気がしてる、今更降り出す雨に驚き、ランタンの光弱めてく。
世界は闇に包まれる。
ゴンドラの戸が開かれる。
もう雨あがり、夜も明けて、朝すら過ぎて昼だった。
或る世界にて 風宮 詩音(かぜみや しおん) @kazegitune
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