不幸な少年ブラッドが、不死の男・ロベルトと知り合い、その長いとはいえないけれど、短いともいえない旅路を描いているように思える物語です。
ロベルトの儀式の生け贄になるブラッドは、死んでいないだけで、生きているとはいえない程の境遇なのですが、ふと思うのです。
この物語、ロベルトも不死とは言うけれど、生きているとはいえない、と。
ロベルトに不死を授けた存在も、果たして生きているといえるのかと疑問が浮かびました。
そして皆、死ぬのが怖いから生きているような、そんな気がしました。
これはブラッドが生き返る物語なのだと、私は感じました。死んでないから生きているのではなく、前提条件なしに「生きている」といえるようになるまでの、短いけれど、これまでの一生分を濃縮させた26,000字です。