モンスターから逃げれないので速さが欲しい

呼吸を整い終わり、近くにあった木によじ登り現状を確認することにした。このまま、ここにいたら、また人面ネズミみたいなモンスターに襲われるかわかったものじゃない。


木に登ったことなんてなかったが、命がかかれば人間やれるもんだ。



まず、さっきの戦い?でわかったことは、HPバーの存在だ。

もう一度自分のHPバーを見てみると、HPは減ったまま変わらない。


んー、自分のステタースとかゲームとかなら見れるんだけど、そんな都合よくって、ええー!


目の前に透けてる文字が現れ、色々と書かれている。


「おおーなんか見えた。よーし、どれどれ、ここは確実に元いた世界とはかけ離れている。異世界転生?死んでないし……。召喚?いや、呼んだやついないし……。まぁー、異世界だしお決まりの凄い能力とかあるのかな?」


書かれている文字を読んでみると、


【名前】水本 瑞希 Lv1

【職業】無職

【スキル】アイテムボックス、鑑定

【能力】

力 2

守 0

速 1

運 0

HP 30

MP 0


うん……、ショボいな。

無職!間違ってないけど……。

能力も低い、スキル?どういうスキルだ?


そう思うと文字が切り替わり、スキルの説明が書いてある。


アイテムボックス-レベルに応じて収納数が増える。念じれば自由に出し入れができる。


鑑定-体力や自分の状態、物などの説明を見ることができる。念じることで表示や非表示にできる。



なるほどー、本当にゲームみたい。特別な力はないけど、鑑定のおかげで状況把握できてよかったわぁー。


ふぅー。


と、一息つきながら、遠くに見える街を眺めていた。生きてあそこまで行ける自信がねぇー。お腹も減ってきたし、飴でも舐めよ。


袋からピーチ味の飴を取り出し、舐めようとすると、目の前に透明な塊が現れた。木の上から垂れてきたようだ。


透明な塊から逃げるように木からおり、全速力で逃げ出すが、逃げる先に透明な塊が先回りしていた。


やっぱり逃げられない!逃げれる速さがほしい!


透明な塊をみると、【スライム】と表示されていた。


異世界お決まりのスライムか、さっきの人面ネズミと比べると可愛いもんだぜ!


足を使ってスライムを、おもいっきり蹴りとばした。しかし、蹴った部分が空洞になるが、すぐに再生している。HPバーも全く減っていない。

試しに投石してみたが、すり抜けてしまい効果はないようだ 。


隙をみて逃げようとするが、先回りされてしまい逃げられない。



あれ……。これ詰んだ?


ズリズリとスライムがこちらに近づいてくる。攻撃効かないし、逃げれないしどうしたものか……。


しかし、しばらくたっても攻撃してくる気配はない。ずっとジュルジュルと奇妙な音をたてている。


ん?なんだ?


ふいに手の中に握りしめていた飴を取り出すと、さらにスライムが近づいてきた。



こいつ飴が欲しいのか?

ドラ○エで定番の仲間になりたそうに、こっちをみている状態?


膠着状態が続いているので俺はスライムに飴をあげることにした。



ほら!これ欲しいのか?


そう言うと、表面がズルジュルしてるので分かりづらいが頷いているように見える。


スライムに飴を渡すと飛びつくように体内に取り込み始めた。


しかしあれだな……。

スケルトンだから飴が溶けていく様子が見えて、なんか面白いな。


飴を食べている様子を見ていると、スライムの身体が波うち始めた。何か苦しんでるようだ。


えっ、飴ってスライムにとっては毒だった?


俺はそーーと、スライムから離れ先に進むことにした。





ふぅー、なんとか逃げられた。食べ物につられてモンスターがよってくるかも知れないから、飴はアイテムボックスにしまっておこう。

飴を収納するように念じると、ポケットからスッと飴が消えた。


半信半疑でやってみたけど凄いな!


アイテムボックスの性能に感激してると、周りの草むらからカサカサと音がなり始めた。

音が鳴ったと同時に再び人面ネズミが飛びだしてきた。しかも、カピパラサイズでさっきより大きいし、3匹同時に出現!


距離は1メートル程も離れているが、すぐにこちらに向かって突進してきた。

目をつむって痛みを覚悟する。




……。

ん?あれ痛みがこない。


目を開けると先程のスライムが人面ネズミが俺の前に現れ攻撃を止めてくれていた。


スラ男ーーー!


ふいに変な名前で呼んでしまったが、スライムが喜んでくれてるような……気がした。


スライムもといスラ男は人面ネズミを身体全体で包みこんでいった。

人面ネズミは息が出来ず、しばらくするとスラ男の身体の中で動かなくなった。



仲間の1匹がやられ、他の人面ネズミは逃げていった。

俺はただスラ男の様子を見ているしかできなかった。



スラ男の身体はスケルトンだから、飴と違って徐々に人面ネズミの肉が溶け、骨になり、やがて無くなるまでの過程を見学するはめになったが……。


しかし、心底思う……。













一歩間違ったら俺がああなってたのか、異世界のスライム怖っ!

速さ!速さがあればモンスターから逃げれる!速さがほしー!

と、心底思った瞬間であった。

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盗賊に転職したら捕まったんだが…。 @gakutonbo

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