Bluegiant 感想
木谷日向子
1~3巻感想
微かに残っている記憶があった。
アメトークを見ていた時に漫画大好き芸人が放送されていて、その中で皆で本屋に赴いて好きな漫画について熱く語るというシーンがあった。麒麟の川島さんが本作を推していて「この漫画を読むと夜中に走り出したくなる。自分は何をやっているんだろうという感覚になる」と(正確に覚えていないので多少誤りはあるが)語っていた。
それから月日は経ち、本屋に赴いた際にたまたま本作の棚の前で足が止まり、何年か前に川島さんが言っていた言葉がふっと脳内に思い出された。
無意識のうちに手に取っていた。
高校生である主人公がサックスのジャズプレーヤーになる為、大学進学もせず、アルバイトをしながら夢に向かって頑張るというのが、本作の簡単(すぎる)なあらすじである。
だが熱い。漫画で、紙で描かれた絵であるのに、主人公の息遣いが、音が、こちらの体に浸透し、生演奏で聞こえてくるかのようである。
そして音楽を題材とした作品が多々ある中で、本作が素晴らしいと思ったのが、主人公が孤独にサックスと向き合って個人練習を川沿いでする場面がずっと続いているところだ。
雨の日も、風の日も、雪の日も、ひたすらサックスを吹き続けていく。彼の練習量と比例するように、どんどん音は鋭さを増し、上手くなり、周囲の人の心を打っていく――。感動した。
私自身、物語を生み出してくことに対する自分への自信の無さと、技術不足に悩まされ、自己嫌悪に陥っていた時に本作と出会った。
人から認められるには、自分の技術で人の心を打つしかないのだと思った。
ジャズが好きな人、音楽が好きな人、夢を追っている人におすすめしたい漫画である。
Bluegiant 感想 木谷日向子 @komobota705
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