ラト・ナージュの石

@sakenomoka

序章

 蝋燭の揺らめきと一緒に陰が踊る。

 枕元でささやく母の声が、これは王家のとても古い伝承なのだと教えてくれた。

 

 天の者が作りしラト・ナージュの石

 大地を肥やし、生命に息吹を与え、民を統べる王たる器を与えん

 王とならんとする者よ、汝の…を天に捧げよ

 さすれば、汝に……が与えられん


 母の声は心地よく、吸い込まれるように眠りの世界へと堕ちていった。それが、最後の母の声になるとは、知らずに。

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