2.獣破団入団試験(一次試験)

「今回お集まり頂きました人数は、200人。御来場ありがとうございます。」


機械だと思っていた声は、どうやらこの女性の声だったらしい。金色のロングヘアで見た目はギャルのようだが、落ち着いてもいるようで、まさに大人の女性というような雰囲気を出している。俺がそんなことを考えていたら、説明役の女性は早くも説明へ移ろうとしていた。


「それでは、一次試験の説明を行いたいと思います。と、その前に。一次試験はグループごとに分かれて行いますので、受付時に渡した番号を参考に案内の部屋へ移動をお願い致します」


「番号…」


言われてみると、そんなものが渡されていたな。俺はすぐに番号を確認した。番号は133と書かれている。


「どうやら部屋は10部屋あるようだな。番号を見るに、20人ずつ区切っているようだ」


俺は左から7番目の部屋に案内された。そしてその部屋に広がっていたのは——————一面ずらっと並ぶの草原。そしてその真ん中に不自然に置かれている闘技場だった。俺たちは案内係に促されその不自然に配置されている闘技場に移動した。移動が完了すると、奥の扉から案内役や説明役とは別の女性が現れた。ツインテイル?の女性…というよりか女子と言った方が良いだろうか。年齢は同い年程に見えるが16歳にならずに獣破団には入らないからきっと一つ上くらいなのだろう。…年上には見えないが…。


「集まったようね。…それでは7の説明を行わせて貰うわ」


(なんだ…?妙な言い方だ…)


引っ掛かりはするものの、あまり考えないようにして俺は説明を聞く。


「一次試験の内容は…接近戦勝負よ」


そう端的に言われたが俺には意味が分からない。だが、獣破団様は分からない奴らのことも考えてくれていたらしい。


「…と言ってもあまり理解できないだろうから詳しく言わせてもらうわね。さっきも言った通り接近戦勝負。ただし、対人戦だから殺傷能力の高い武器はなし。だとしても比較が出来なくて困るだろうから、いっそ個人の武器の使用はなしとさせてもらう。代わりに武器はこちらから用意させて貰ったわ。木刀しかないけど、皆これで十分でしょう?」


そう言われると、案内の女性からおよそ木刀が渡された。


「言ってなかったけど、脱落の条件は戦闘不能になるか、闘技場外の草むらに落ちるかよ。ちなみにスキルの使用はなしね。自力で勝ちなさい。勝負は十秒後とさせて頂くわね。では各自準備。」


展開が早いことだな。そしてスキルの使用はなし…。面白い。おそらくこれは想定外の事態が起こったときにスキルに頼らない為の適応能力をつけるためか。


「3…2…1…!」


「本当、大変だな。」


「始め!!」


あの女子が始めと言った瞬間、一人の男が俺に向かって突撃しようとする。


「悪く…思うなよ!」


男はそういうと俺に木刀を叩きつけ…かけた。フェイントだったのだ。俺は即座に背後を確認し、予想通りに来る攻撃をかわす。と同時に背後から襲いかかった男につきを入れてダウンさせてから蹴りを入れ、場外へ落とした。俺がこの男を脱落させたとき、既に9人脱落していたようで、この男を合わせると10人脱落したことになる。つまり…。


「そこまで。合格者は闘技場に残っている10人。これで第一次試験を終わりとするわ。次の二次試験に進みなさい。幸運を祈るわ」


どうやら、俺は合格できたようだ。だが、あんなにもすぐにとは驚いた。俺よりもずっと上の実力者はたくさんいる。俺もなんとか生き延びなければ…。

どうやら、道は険しそうだ。

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神創世界ト破滅世界 RAID @2605

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