神創世界ト破滅世界
RAID
1.知られぬ始まり
「ベイン……お前とは分かり合えると思っていたのだがな…」
「兄さん……」
その言葉の瞬間、部屋中は真っ白に照らされ、神々しい存在が現れた。
「……ゲームの始まりだ…。」
*
アレイスタシア。この世界の名前だ。この世界は
神々の加護を受けており、最高神ホムラによる監視を受けている。神々は世界に直接手出しすることは不可能だが、神託という形で世界に言葉を与えることができる。しかし、例外がある。神は一度人々に力を与えようとした。もちろん、神の監視を受けてという条件付きで。だが、それが神の理を乱した。人々に力は渡った。しかし、神がそれを監視及び管理する権限を持つことは出来なかった。それ故、アレイスタシアは発展した世界でありながら、不安定な可能性を持つ世界となってしまった…。
だがこれらを知る者は神以外おらず、誰も知らずに時は過ぎていくのだった。
*
「レオン…レオ、、レオン!起きて!」
妹に起こされ、朝を知る。これが俺の毎日だ。ここはヒスタリア王国の王都…俺が住んでいる場所だ。
「レオン、朝ごはんできてるわよ」
「いただきます!はふっ……!」
いつも思うが、とても美味しい。目玉焼きのきみとパンが絡まり、至高の味を表現している。
「…幸せだ」
(だけど、俺はやらなければならないことがある…。この幸せは、続かない…)
俺が何故こんな物騒なことを考えているか…それを説明するには10年程遡らなければならないだろう…。
いつも幸せだった。たった5、6歳程度の歳だったが、はっきりと記憶に写っていた。こんな日々が続いて欲しかった。しかし、その願いに運命は答えてはくれなかった…。
とある日のことだ。
ある
(俺はあいつを、害獣を殺す!全て、全て倒す!…そして、そこに黒幕がいるのなら、その負の連鎖の元を断つ!ぶっ殺してやる…!!)
「あの事件を思い出していたのかい?」
回想に浸っていると、
「はい…。
「…本当に入るつもりなのかい……
「それは変わっていません。あの日あのとき、俺は決意したんです」
「…僕は止めたい。…だが、僕に君を止める権利はない。ただ一つだけ。…無茶はしないでくれ」
「はい。分かってます」
無茶をするかどうかは正直分からない。だが、今はそう答えるしかなかった。
「うん。…あ、そうそう。今日でレオンは16歳。成人したからね。これを」
「…ポーション?」
ポーション。それは薬草を混ぜて加工を施して出来たもの。これを飲めばある程度の傷を即効で治すことができる。ポーションには初級から始まり、中級、上級があるのだが、これは上級だろう。なかなかに金がかかるはずだ。どこから手に入れたのか…。
「ありがとうございます」
「あぁ…いいんだ。あまりいい思いもさせてあげれなかったし。それに獣破士になるんだろ?回復アイテムは必須さ。」
「………本当に、ありがとうございました!」
「妹さんは……置いていくつもりかい?」
俺の体が少しの反応を見せる。
「ここにはもう戻ってこないつもりだろう?…分かるんだよ。妹さんに無理をさせたくないんだね」
「妹は…俺と違って両親の記憶がありません。だから…尚のことつらい思いをしたはずです。せめて妹には、良い思いをさせてあげたい」
「…分かったよ。
「…妹をお願いします」
こうして俺は、入団試験を受けるため、獣破団のアジトに向かうのだった。
*
獣破団本部。ここでは年に一度獣破士になる為の特別試験が行われる(ちなみに日は年ごとにバラバラ)。参加条件は成人以上。俺は今日、5月5日に誕生日を迎え条件を満たした訳となる。
害獣は危術を使う。それに対して人間は生身で戦うわけではない。古代から人々には
(職業は、スキルは…無限の可能性を持っているのだ!職業で、スキルで、俺の力で、俺はあいつを…そして黒幕を倒すんだ!)
そのためにもまず獣破士になる必要がある。俺は試験会場に入り受付を済ませ、この胸の高鳴りを抑えるため、開始の時間まで、惰眠を謳歌するのだった。
*
しばらくして、予め録音されたかのような機械的な声が鳴り響く。
「お越し頂いた皆様、ようこそ、獣破団へ。これより一次試験会場に移動して頂きます。皆様、指示に従って移動をお願いします」
始まりの合図がなり、空想から現実に引き戻される。そして始まったのだった、第一ステージが。
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