ベースとなる発想は面白いです。
この世界の感覚からすれば彼だけは他の世界の価値観で動こうとする狂人なので、それにどう折り合いを付けていくか興味深いところです。
キャラクターは女性陣はなかなか楽しい面子が揃ってきていますが、男性が少なすぎますね。
難点としては主人公の性格がブレブレです。
理性的で慎重、主張も理屈っぽいタイプのはずなのに、やたら女性に甘く、急に結婚を決めたり慎重さや主張がなくなって軽率になるのが違和感しかないですね。
論理的に進めたいのは分かりますが、本文の説明が冗長で例えも分かりづらいので、読みづらく感じるところがあります。
まだ一章を読み終えた段階なので今後に期待したいです。
1~2章はほかのレビューにもある通り単なるなろう系のテンプレに対するアンチメタに過ぎなかったんですが、3章から方向性をグイッと曲げて、とにかく内政もののお手本のような政治を繰り広げる作品になりました。
以下、軽いネタバレを含みます。
最初に2章読んだときはそんな荒唐無稽な!となっていました。
いままでの使途はどんなことをしてきたのか、ただただそれを主人公目線であきれかえらされるだけのお話です。
それを踏まえた3章からは、じゃあ今までの使途のよくなかった箇所はどこかを分析して、使途としての力をできる限り使わずにどこまでこの世界をよく出来るかというところにテーマが置かれるようになりました。
それによって、差別と宗教の問題に真摯に向き合う主人公のドタバタ劇がメインになりました。
多種族国家で被差別階級が存在するときにどうやれば差別をなくせるのか、そこにテーマが置かれているような気がします。
戦争に乗り気でない主人公が心を痛ませるのも大変に心にグサリとくる描写で、この作品の良いところだと思います。
内政ものが好きな方は3章からが本番と思って読んでみると良いと思います!