大切だから

　最初は貴女からだった。貴女の誕生日に私のあげた安っぽい髪飾りをとても喜んで、埋めた。大切だから、大事にしなきゃ、と笑顔で言った。

　次は私だった。貴女がお土産に買ってきてくれたご当地キャラのストラップ。とても嬉しかった。だから埋めた。とても大切にしたいと思ったから。貴女にそのことを伝えると、ありがとう、と笑ってくれた。

　次も私だった。私と貴女が写ったプリクラ。顔を近づけて香りが届く距離にいた証。貴女が私を大事にしてくれている証だから埋めた。貴女は何故か笑ってくれなかった。

　次も私だった。貴女が私の部屋に忘れていったハンカチ。学校が離れて中々会えなくて次に会うときが待ち遠しい。大切だから埋めた。きっと貴女は笑ってくれる。

　次は貴女だった。私からの手紙。大切だから、埋めてくれたんでしょ？私は笑顔で、ありがとう、と言った。貴女は笑ってくれなかった。

　次は私だった。貴女の写真。隣は知らない人。埋めた。とても深い穴に。

　次は私。貴女のスマホ。大切でしょ。だから埋めた。

　次は貴女。大切だから。