第2煙 三枝司の行方

「佐藤さんには帰ってもらって連絡先も貰った。と。んで京介のほうは?」


「バッチリ当たったぜ。三枝司。仲間が知り合いだそうだ」


「職業は?」


「サラ金業者だ」


「タチが悪いな…まぁいい他には?」


「そうだなー。身長178cmくらい。筋肉質で引き締まった体としか聞いてないな」


「いよいよ喧嘩展開か!?」


「喧嘩っつても天馬はなんもしねぇじゃねぇか。今回の事は俺に任せろ」


「そうだな。俺は推理役だな。マスター!ショッポ!」


「早乙女組の頭は分からないが若い衆。つまり下っ端連中のことはある程度知ってる。車で暴走したり騒いだり。いい噂は聞かねぇな」


「なるほど…若い衆は危険度的にはどうだ?」


「かなり高いだろうな。そこと繋がってるのが三枝司だ。消されててもおかしくない」


「また死体が上がるのかよ…勘弁してくれ。」


「サラ金業者ってことは早乙女組から金を借りて貸してたってことでいいのか?京介よ」


「まぁそうなるだろうな。金額は分からないが億単位の借金もとい元金があってそれをとんでもない利息で貸してるってところだろ」


「表向きはスターライトって会社だってことも分かってるぞ」


「スターライトか…潜入出来そうか?」


「家主不在だ。大家に言えば潜入は出来るだろう」


「スターライトを調査しよう。念の為京介も着いてくること」


「ほいほい」


そんな訳で2人はボロいドアのマンションの前に立っていた


「スターライトってここか。開けるぞ」


ガチャガチャガチャガチャ


「てめぇら何もんだ?」


「は!?!?」


「三枝司さんを探してます」


京介は落ち着いてる


「司さんですか!?失礼しました!!!」


「お前ら司の部下か?」


「はい!それであなた達は?」


「自己紹介が遅れたな。俺は京介。そこでビビりながらショッポ吸ってるのが天馬。探偵だ」


「探偵さんですか…司さんの名前出されたらなんも出来ませんよ…確か司さんと連絡取れなくなって3日くらいですね」


「たった3日?」


「サラ金業なんで3日でもいないと取り立てとか大変なんすよ。見ての通り俺ら半グレヤンキーレベルなんで」


「司は違うのか?」


「司さんは…調べられてると思いますが後ろ盾に早乙女組がありまして…それで俺らとは別格というか。喧嘩も負け無しですし」


「ほう。手合わせ願いたいものだな。無論この世にまだ居るならの話だが」


「どういうことですか?」


「早乙女組についてお前ら知らないのか?」


「暴力団絡みは嫌なんで調べたこともないですよ」


「アイツらはとにかく乱暴だし気性も荒い。人1人殺すくらいなんとも思わない連中なんだよ」


「それに司さんが巻き込まれたってことっすか?」


「お前らなんで天馬にあんな口聞いといて俺にはビビってんだよ。」


「いや俺ら分かるんすよ。本能的に司さんや。えーと京介さん!でしたね。とかは闘ったらいけない相手だと察知するんです」


「雰囲気的問題だろ?」


「まぁそうっすね」


「天馬!おい天馬!ショッポのシケモクするくらいならマスターから貰ってくりゃいいだろ!こいつらに推理力見せてやれよ」


「お、おう。まず三枝司がサラ金業者なのはこれで確定。裏も取れてる。恨みを買ったりする職でもあるけどそれは若い衆。うまりこいつらが取り立て担当。三枝司はホントにごねる客の前にしか出ないってところだろ?」


「天馬さんでしたっけ?さすがっす。ゴネるやつ多いんすよ最近」


「んで仲間も連れてる訳だから1人で居なくなる訳がない。つまりあとの可能性は早乙女組絡みだ」


「うちの資金は早乙女組から出てるってのは知ってます」


「借りてんだよそれ」


「借金なんすか!?」


「次はお前らが取り立てられる番かもな」


京介が軽く脅す


「早乙女組からっすか!?勘弁してくださいよー」


「京介やめてやれ。冗談だ。俺らは探偵。事を荒立てることはしない」


「良かったっす。協力出来る範囲でなら協力しますよ!資料とか!必要ないっすか?」


「貸付名簿とかだろ?見るよ。あと金庫も見せてくれ」


「金庫っすか。俺らは触ると怒られるんであれっすけど。司さんの机に鍵あるはずっすよ」


「なるほどな。開けてみるか。えっ…」


「どうかしたんすか?」


「金庫の中。借用書以外なんもないぞ」


「現金ないってことっすか!?」


「そうだ。見てみろ」


「ほんとっすね…確か元々1億円近くあったはずなんすけどね」


「取り立ててない奴らの借りてる額いくらだ?」


「5000万くらいっすね。てか少し前までは1億近くあったの見てますし…」


「少し前とは?」


「1週間前くらいじゃないっすかね」


「京介。もう用は済んだ。帰ろう」


「天馬。あれだけでなにかわかったのか?」


「俺の盗み癖忘れんなよ?」


そう言いながら天馬はにやりと笑った


「カランカラン」


2人はブロードへ帰ってきた


「んで金庫から何盗んだんだアホ」


「アホじゃねぇよ。ほら。早乙女組の名前の借用書。金1億って書いてあるだろ?」


「確かに…利益があのまだ貸してる5000万って訳か」


「天馬。1億円はどこへ消えた?」


「京介。お前の話じゃ三枝司は早乙女組の半グレとつるんでたんだろ?それならそいつと三枝司で5000万ずつ。盗んで消えてやろうって所じゃねぇかと俺は推理した」


「夜逃げか!」


「半グレ。そして三枝司は喧嘩は強い。となると揉める要素はない。2人で仲良く半分にして分ければいい。だが裏切られた場合は?考えてみろ京介」


「三枝司が1人で盗んだと早乙女組の頭は思うだろうな」


「んで消されたとでも言いたいのか?天馬」


「そこまでは言ってないだろ。ただそれに近いことは起きてもおかしくないだろうな」


「というと?」


「つまりだな…早乙女組に聞きに行くしかねぇ!」


「はぁ!?暴力団絡みは御免だぞ天馬」


「しゃーねぇだろ。犯人もとい貸主なんだから。なんも頭に会うつもりで行くわけじゃない。若い衆でいいんだ」


「仕方ない。情報集めてくるわ」


そう告げた京介はブロードを後にした

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