第2章 1煙 welcome to 探偵喫茶


神崎天馬は相変わらず居候で

喫茶ブロードにいた。


「こんな短期間で百数十万円…探偵って儲かるんだなぁ」


「パチプロも儲かるぞ。天馬」


「京介お前毎回勝ってくるけどホントに出禁にならねぇのか?」


「なってるよ?」


「は!?!?」


「数店なってるよ。ったりめぇだろ?」


「生涯獲得賞金は…?いくらなんだ!?」


「ざっと5000万くらいだな」


「お前なんでここいんだよ。部屋借りろよ」


「借りれるけどよ。ここが居心地いいんだ。わかるだろ?天馬?」


「いや!5000万あったら居候してないし面倒な依頼とか受けないわ!」


「トータルで5000万なんだよ。酒とかタバコとかで消えてるんだよ」


「浪費家なのか?」


「るせぇな。詳しく知りたいならマスターに聞けよ」


「知りたくはないから聞かねぇけどよ…京介すげぇな」


「そういやこの前の証人になってた時にも打ちに行ったろ?その時の金。ほい2万」


「さんきゅな。いつも助かるぜ」


「ブロードのコーヒー何杯でも飲めるからマスターに貢献してやれよ天馬」


「いや俺のここのコーヒータダだし…」


「タダじゃないだろ?お前が預けてるお金から引かれてるんだよ」


「だとしても1杯300円だぞ!?俺は今170万近く持ってるんだから気にしてない」


「まぁなんでもいいけどよ」


「カランカラン」


「お。客だな。」


「面倒なことになるかもしれねぇぞ?天馬」


「そうそう毎回面倒に巻き込まれてたまるかよ」


「あのー。ブロードって喫茶店はここでいいんですか?」


細身で髪は腰より上まである茶髪の大学生といった外見の女だった


「…はい」


マスターが答える


「探偵喫茶って聞いてきたんですけど」


「…あちらへ」


「おいマスター!なにがあちらへ…だよ!俺は探偵じゃないっつーの!」


「この街では有名になってるわよ?探偵喫茶の2人組ってね」


「そーゆーお姉さん。いや俺と同い年くらいか。あんたはなんの用できたんだ?」


「依頼よ。当たり前じゃない」


「はぁ。」


「なんでも解決してくれるって聞いてるから出来ないとは言わせないわよ」


「そりゃ出来ないとは言わないけどさ。名前くらい教えて貰わないと話にならないだろ?」


「失礼したわ。私は佐藤智美。大学生よ」


「んで。俺は22歳なんだけど佐藤さんは?」


「私は21よ」


「歳下かよ。まぁタメ口でもなんでもいいから要件聞こうか」


「ええ。ある晩私の彼氏から連絡が取れなくなったのよ」


「その彼氏さんの特徴とかってあるか?」


「見た目は普通のヤンキー。だけどかなり刺青が入ってるわ。普段は長袖シャツとかで隠してるみたいだけど」


「ヤクザ柄みか?」


「分からない。彼氏がなんの仕事してるのかも教えてもらってないから」


「そーゆーのは聞いとけよ…まぁいい。この近辺に住んでるのか?その彼氏さんとやらは?」


「ええ近所よ」


「佐藤さんの説明だとヤンキーで刺青か…それなら京介のほうが詳しいかもしれねぇな」


「京介?あぁあそこでやっすいタバコ吸ってる男?」


「そうだ。俺もショッポ吸いの安いスモーカーだがな」


「ショッポ?おじさんくさーい」


「うるせぇな!?ショッポうめえぞ?」


「まぁいいわ。ショッポは置いといて事件の可能性とかってあるのかしら?それならあなた達探偵じゃなくて警察にも掛け合ってみるけど」


「これだけの情報じゃ分からない。京介に聞いてみるよ。おーい京介」


「こんなちいせぇ喫茶店で大声出すなよ天馬。全部聞こえてら」


「おぉそうか。んで心当たりないか?」


「んー。この近辺は早乙女組ってのが仕切ってるんだ。もちろん反社会的勢力だ。そこに喧嘩売るやつなんている訳ねぇんだけどな」


「早乙女組?それなら彼氏が電話で話してる男の人がそこの人だって言ってたけど…興味無いから聞かなかったわ」


「佐藤さん。その彼氏の名前くらい分かるよな?」


「彼氏の名前は三枝司。みえだ。じゃなくて。さえぐさ。よ」


「三枝司…京介心当たりは?」


「分からねぇ…俺の仲間にも聞いてみるよ」


「あんまり事を重大にしたくないんだろ?佐藤さん?」


「ま、まぁ暴力団絡みなら嫌ね…探偵さんに依頼するほうが楽だわ」


「んじゃ手付金だ。気持ちでいい。いくら払う?」


「手付金って。払ったらある程度調査してくれるんでしょうね?」


「もちろん」


「んじゃ2万円。持ち合わせがそれしかないの」


「それなら1万でいいよ。無一文になる訳ではないが財布に金なきゃ意味無いだろ?」


「1万でいいなら…全然構わないけど」


「決まりだ。三枝司を調べるぞ京介」

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