EX章 天馬の過去

「カランカラン」


「天馬。また依頼だぞきっと」


「なにニヤけてるんだよ。俺が困るのがそんなに楽しいか?悪い趣味かよっての。お前はパチスロしてろ京介」


「おいやっぱりあの客天馬の事見てるぞ?」


「るせぇな。探偵はもう飽きてんだ。顔だけ見るか…って!音尾さんじゃねぇか!」


「なんだ?そのおとおさんって。お前の親父か?」


「それはおとうさんって言うだろ。あの人はおとおさん。音尾って文字書くんだよ」


「天馬となんの関わりが?」


「ってたく音尾さんが来るとは思わなかったよ。音尾さんは俺が実の両親から追い出されたところを拾って世話してくれてた実の父に近い人なんだよ。俺の親父じゃないけどそれに近い存在だよ」


「ってことはあのおっさんお前のこと面倒見てくれてたってことか!?」


「そうだよ。多分ブロードが噂になってここに来たんだろ。なぁ?音尾さん」


「あ、あぁそうだよ。天馬。今じゃ立派な探偵になったらしいじゃないか。俺は嬉しいよ」


「ったくやりづれぇな。音尾。俺は今マスターに結構な大金預けて貯金もしてるんだ。1杯奢るよ」


「相変わらず優しいね。天馬は」


「天馬が奢るなんて珍しいな…音尾さんっていったか?俺は京介。こいつとこの喫茶ブロードの用心棒だ」


「京介くんだね。こちらこそよろしく」


「天馬の恩人だ。俺からもお礼がしたい。ほんの気持ちだ。受け取ってくれ」


「2万円!?いやこんなに受け取れないよ」


「紹介が遅れたな。音尾。こいつは京介。パチプロだ。2万円なんかこいつの30分だから気にせず受け取りな。それより今でもショッポ吸ってるのか?」


「あ、あぁもちろんショッポさ」


「天馬のショッポ好きってまさか音尾さんの影響なのか?」


「そうだ。初めて吸ったタバコがショッポだ。んで音尾の家に行ってタバコ欲しいって言ったらショッポが出てきた。運命感じたんだよ」


「音尾さんって普段なにしてるんすか?」


「京介それは聞かねぇほうが…」


「あ、あぁ俺は投資家ってやつでね。簡単に言うと家にいるだけで稼げる仕事だよ」


「投資家!?」


「だから聞かねぇほうがいいって言ったろ。俺が家出てここにきたのもそんな背景があったからなんだ。」


「つまり天馬が通ってたお金は全て音尾さんの金ってことか?」


「そうだ。困ったら振り込んで貰えるが。あまり頼りすぎもよくないと思ってな。俺も22だ。立派な大人さ」


「いやそれはすげぇどうでもいいけど音尾さんの年収っていくらなんすか?」


「さ、さぁ数えたことないけどざっと10億くらいかな。ほとんど株主優待で暮らしてるし独り身だし寂しいもんだよ」


「10億!?なんでそんなところからここに逃げてきたんだよ天馬」


「いやまぁ堕落しちまうかなってのと。俺も人生楽しみたいんだ。だから探偵なんてやってる訳だ。」


「じゃあ最近までのあの金に困った天馬は嘘ってことか?それなら用心棒やらねぇぞ?」


「金に困ってるのは事実だ。音尾にばっかり頼れねぇだろ。子供じゃねぇんだぞ京介」


「だけどそれこそ家とか買ってもらったりしたら良かったじゃねぇか!」


「それじゃ楽しくないんだよ。ここにきてマスターと京介と話すのがいいんだ。まぁここに来てって言ってももう居候だけどな」


「天馬にそんな過去があったのか…いや音尾さん!さっきの2万円は失礼しました!」


「あぁお金のことかい?気持ちだと京介くんは言ったよね?十分伝わったからこれは大切に取っておくよ」


「ってことで金に困ったらまた呼ぶから。音尾。帰った帰った。ほらほら。」


「さっきと言ってること違ぇけど!?それでいいのか天馬!?」


「るせぇ。音尾も紹介したしこれも何かの縁だ。これからもよろしくな。音尾。それから京介。」


「お、おう。任せろ。用心棒はしっかりしたらぁ!」

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