第13話 ネコチャンと完結とエタり
「下僕、下僕よ。あなたはこの連載のことをすっかり忘れていましたね?」
ある日、ひさしぶりにネコチャンが口をきいた。
「あっ、ハイ。忘れてました」
「まぁ、仕方ありませんね。Web小説の改行ルールがわからないとかなんとか言いつつ、諸々書いているうちになんとなく自分の書き方が定着しましたからね」
「結局決まった書式はなく、自分の好きに書けばいいんじゃないかという結論に達しました」
「そうですね。書籍化もしましたし」
「しましたねぇ……」
というわけで、私はこの、ほぼ更新を忘れていた連載を終わらせようと決めた。
なにしろ当のネコチャンも忘れていたくらいだ。私も改行のパターンや漢字の比率に迷いながら書くことはなくなった。
「下僕よ、あなたは書籍を売りなさい。下僕の小説がどれほど売れるものかはわかりませんが、あなたに入ったお金は私に還元されるのですから」
「わ、わかりました……がんばります……」
「まぁ私はお金が入ればなんでもいいのですよ」
ネコチャンは基本、自分のことしか考えていない。そしてとても可愛い。さすがである。
そういえば、オジサンはその後家族と共に仲良く暮らしているらしい。時々アオハル系の小説を書いてはネットで公開しているという。
貴重な執筆仲間なので私の単著を一冊贈呈したが、「どうもホラーは苦手で」と言いながら積んでいるようだ。
「しかし読者の皆さん……どなたかいらっしゃるのかしらね。もしもネコチャンにご質問等があれば、お答えするのはやぶさかではありませんよ」
「ネコチャン、だれと喋っているのですか?」
「ニャアン」
ネコチャンは喋るのを止め、日向で丸くなった。といったところで、私も失礼することにしよう。
Web小説の書き方がわからないから色々試してみよう! で始まった本連載、これにて一旦完結致します。お付き合いいただき、まことにありがとうございました!
文章の書き方実験 うちのネコチャンといっしょ 尾八原ジュージ @zi-yon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます