雪待ちの人

長月瓦礫

雪待ちの人


あくびをひとつ、空中にこぼす。

薄く膜を張る眠気に抗えずに

天蓋付きのベッドで眠る貴族のように。


その場で眠る。


迫り来る鈍色の眠気の中でふわふわした感覚。

襲い来る虹色の活気の中でもんもんとした感覚。

戦う前に私は鈍色に染まる。


空を彩る葉は踊る。

これから冬を連れてくる。


空を煌く灯は踊る。

これから冬を連れてくる。


彼らは雪待ちの人。冬は最も輝く世界。

命は眠り、彼らは踊る。踊る気力もない私。

おやすみなさいを言う前に、夢の国へ引き込まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雪待ちの人 長月瓦礫 @debrisbottle00

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ