根強い無力感

自分は、両親と生活する実家で常に真綿で首を絞められるようなプレッシャーを感じたり、時には頭ごなしに怒られたりする精神的ストレスに、ここ一年半ほど耐えられなくなりました。

そのため去年の春ごろから実家を出るための努力を始めたのですが、それは実に32歳の時のことです。


しかし、実家ストレスによるダメージの大きさを自覚したのはもっと前のことで、遅くても20代後半くらいから「この家を出たいなあ」と漠然と考えていました。

それを30代の今までなかなか実行に移せなかった理由として、

・実家脱出やその後の生活へのサポートのつてがなかった

・「この家を出てやる」と決意できるだけの事件がなかった

ということが思い当たります。

しかし最大の理由は、

・「実家を出たら生きていけない」という無力感

だろうと、最近思います。


思い返せば、自分は自己効力感(ざっくり言えば「自分ならできる」という感覚のことです)を育てる教育を受けてこなかったように思います。

両親から、自分がやりたいことを聞き出したり尊重したりもらえて、上手くいったら褒めてもらえた、という経験がないのです。なけなしの特技である創作活動にしても、少なくとも現在父は無関心で、母は「それじゃ金にならん」と白い目で見てきます。


代わりに両親から命じられたのは、「無難に我慢料稼いで苦しく生きろ」ということです(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/16816452221026468849)。そのために、「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」ばかりを命じられて、できなかったら叱られてきました。

特に高一の頃数学の成績が落ち始め、家では散々見張られたり怒られたりしながら泣く泣く勉強しました(それのために苦手意識が強まって、結局高校三年間ずっと数学の成績は悪いままでした)。成人してからも、バイトをクビになれば頭ごなしに怒られたり、最近でも、好きではなくても「お金を得るための仕事」をさっさとやるように、母からたまに説教されたりします。それらの例以外にも、同じようなことはたくさんあったと思います。


そういう「やらされた」ことが上手くできなくて叱られてきた経験の積み重ねが、

「俺は何をやっても駄目なんだ」

という無力感を育ててきたのだと思います。

それは言い換えると、

「俺は親の庇護を離れたら生きていけない」

という(誤った)信念につながり、実家脱出の妨げになってきたのだと思います。

だから、実家を出ることでその無力感の「源泉」から離れられると同時に、その達成自体でも自己効力感を高められると、自分は期待しています。


今まさに無力感に支配されているかたが、その元凶に気付くと同時に、それをどうにかして断ち切れることを願っています。

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