毒親が愛してるのは彼ら自身の遺伝子だけ
最近、伊藤計劃氏のSF小説「ハーモニー」を、ちょっと空いた時間に読み返しています。
同作は、「健康な生活が第一」という価値観に支配された世界で、ほぼ全人類がAIやナノマシンなどのハイテクによって完璧に健康に管理されている……という一見ユートピアっぽいディストピアを描いています。
「ハーモニー」は最後には、
・判断を誤りうる意識(つまり魂や自我と呼ばれるもの)が肉体の生存の邪魔になりうるために、ほぼ全人類が意識を捨てさせられ、
・意識がなくとも常に合理的な行動ができる肉体の群れのみが生き続ける
というグロテスクな世界の出現で幕を閉じます。
同作を読み返していると、タイトルに書いた恐ろしい仮説(あくまで仮説です)が、昨夜から今朝にかけて頭の中でまとまってきました。
うちの両親は、子供を肉体的には生かすけど精神的には傷つけるという、一見毒親だと分かりにくいタイプの筆頭だと思います。
自分も両親に、殴る蹴るやごはん抜くなどの肉体的な暴力やネグレクトを受けたことはほとんどありません(父にたまに殴られた程度)。
特に経済面では、割と快く助けてもらえています。貯金がやばくなってきたという話を去年父にしたら、今年にまとまったお金をもらいました。また、最近障害年金受給のために発達障害の検査を受けたのですが、親からの聞き取りも必要で、母はそれにすんなり協力してくれました。
一方、精神的には物心ついてからずっと攻撃されてきました。
昔から、他の人より行動が遅いところとかこだわりが強いところとかいった個性を、両親が気に入らない時には頭ごなしに怒鳴られてきました。
それに、どうも彼らから教えられてきた生きかたを総合すると、
「無難に我慢料稼いで苦しく生きろ」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/16816452221026468849)
という結論が見えてきます。
つまり、
「人間としての精神的な充実や安心を犠牲にしてでも、とにかく肉体的・経済的に生存しろ」
と、ずっと命じられてきました。
そうした事実や思考をまとめた結果、
・うちの両親は、自分たちの遺伝子を残すために子供を肉体的に生存させたいだけ。それに対して子供の人格が邪魔になるなら、後者を攻撃して捻じ曲げるのは当然だと思っている。
という仮説が見えてきたのです。
それは、あくまで仮説です。仮にその通りだとしても、おそらく両親はそんな難しいこと理解できない(と言うより理解したがらなそうな)ので、本人たちに確認しても無駄だろうと思います。
しかし自分は、「両親から愛されてる」と頭で思い込もうとした時期はあっても、感覚的に「愛されてる」と感じられるだけの自信や安心感はずっと得られませんでした。
それに対するもやもやが、
「両親が愛してるのは彼ら自身の遺伝子であって、子供自身の独立した人格=魂や自我ではない」
という答えをひとまず得られたことによって晴れました。
この記事が、同じもやもやを抱えてるかたの答えになれば幸いです。
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