ビビッドな感情を取り戻したい

春に新人賞に出した小説が、一次落ちしました。

昔よりストーリー構成の技術をしっかり勉強した上で書いたため、自己評価では、以前に二次選考を通過した最高傑作を上回ったつもりでした。

それでも落ちた理由はずばり、

「作者自身の感情が麻痺していること」

だろうと、現時点では考えています。


普段出してる賞の大賞作は毎年読んでるのですが、やはり多くの作品には、主人公たちの真剣な感情の動きがあります。

自分も、以前の二次選考通過作を書いたときは、命がけで守りたい愛や、胸が張り裂けそうなほどの悲しみや、全身を焼くような怒りや憎悪を主人公と一緒に感じていました。

一方今回の落選作は、作者の観点から言えば、今までで一、二を争うくらい楽しく書けました。しかし、主人公たちの感情や、それらを動かすイベントからは一歩引いて、いまいち他人事っぽくドライに描いてしまったと、今は反省しています。

つまり、ビビッドな感情をキャラクターに込められたかどうか。それが、以前の二次選考通過作と、今年落選した作品の明暗を分けた要素だと考えます。


そんな風に感情が麻痺した理由は、やっぱり実家で両親と顔を合わせることが多い生活の長期化なのだろうと、現時点では考えています。

自分は四年数か月前に、(現時点では)最後のバイト先から雇い止めを受けて、それから実家にこもりがちになっています。それから三年半前くらいまで、自営業やったり小説書いたりしてるのを両親に黙っていて無職だと思われていたため、良くも悪くも強い緊張がありました。以前の二次選考通過作も、その頃に書きました(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/1177354054922824319)。


しかしその後、感情を麻痺させる実家の環境に「適応」してきてしまったのだと思います。

やっぱり両親と生活してると、

・「平凡な」サラリーマンやパート主婦として仕事してるか家でテレビだらだら見てるか、という灰色の単調な生活をしてる人たちと同じ空気を吸ってるだけで、楽しさが麻痺してくる

・(特に母に)悲しみや怒りを悟られると、余計に傷つくこと言われてダメージが増すため、それらの感情も隠すしかなくなる

という風に、ビビッドな感情がどんどん失われていきます。だから、ここ三年半くらい、何を見ても経験しても「こんなもんか」としか思えないことが増えてきました。

そんな環境の家で、両親のすねかじりながら生活してると、感情が麻痺したままでも「とりあえず経済的には生活できるからいいか」と思えてきてしまいます。


実家を出れば、感情を麻痺させてくる代わりに扶養してくれる人たちがいなくて、経済的に生活できなくなるというリスクへのリアルな恐怖が強まるはずです。そんな環境に自分を放り込みたいという、やや捨て鉢な考えも、実家を出たい理由の補強としておきます。


今回の記事は、創作や生活への反省として書きました。

今後どちらも上手くいくかどうか、現時点では分かりません。実際にどうなるかはできるだけ報告するので、読者様にも見守り続けていただければありがたいです。

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