この作品はタイトルの明るさとは裏腹に、恋愛のダークな面が見え隠れするラブストーリーです。
この作品の心理描写はとても見事で、自分でも知らない内に感情移入してしまいました。
主人公が自分の[恋]を押し殺してまで幼馴染達の[恋愛]を手助けすると言う行為、最初は「自分の気持ちを伝えればいいじゃないか」と思っていましたが、途中で主人公の家庭環境が明かされた時に納得してしまいました。
身近に自分の気持ちを話せる人が居ないから
それが当たり前になってしまったから
だからこそ、主人公は自己犠牲のスタンスになってしまったんだなと心底思わされました。
後輩ちゃんのキャラもいい感じにたっていますね。
主人公と似たような思いをしたから、主人公の気持ちが手に取るように分かってしまう。
だから幼馴染に牙を剥く。単純に恋敵っていうのもあると思いますがね...w
これからの更新期待してます!
この作品は「恋愛」をテーマにしていますが、恋愛を中心に描いた作品ではないと思います。
登場人物たちは「好き」という思いを各々持っているのですが、その「好き」は「恋愛的な」安っぽい好きではなく、「愛」を表現しようと試行錯誤する作品です。
特に三角関係な主人公と親友たちは、高校生とは思えないほど達観し、高次の愛を実現しようとしています。
本当に各々互いに大切にしあっているから生まれる愛であり、この愛に説得力をもたせる事ができる作者の力量には驚くばかりです。
しかし、この作品の一番すごいところは、そんな高校生離れした価値観やモラルを持った3人の関係を、高校生らしい純粋さでぶつかるヒロイン(妹)の存在だと私は思います。
題材や登場人物を考えると、哲学的・文学的な難しい苦しい話になりそうなところにブレーキを掛け、閉塞へ進もうとする物語をひっくり返そうと努力し続けます。
重苦しくとも優しい「愛」をぶつけ合う文字通りのハートフルストーリー。おすすめです!