世界の理

エデンでは絶えず争いが生じた。

神も生物も愚かであった…創造神から愛されていれば何をしても許されると考えていたのだ。

やがてその時が来た。

突如としてエデンの大地を大量の水が飲み込んだのだ。

それはゼノグラーシスの仕業であった。

創造神はエデンを見放したのだ…もはやそこに許しは無かった。

多くの神と多くの生物は…かつて雷槍でヒュドラの胴体を大地に打ち付けた大穴へと流れ込んでいく。

それは大地を貫いてニブルヘイムにまで達していた。

大量の水が神と生物をエデンの下に広がる世界へと落としたのだ。

それはニブルヘイムにあった山の頂へと流れ落ちると川となった。

イフリートは驚嘆した…自分だけの世界に多くの神と多くの生物が流れついたのだ…イフリートはさらに下に位置するヘルに降りるとゼノグラーシスを憎んだ。

ニブルヘイムへと落とされた神々はいつかエデンに帰る日を夢見たがついぞ叶わなかった。

エデンへと帰れないと知った生物はニブルヘイムに集落を作った。

種族同士が助け合い…種を残そうと命を繋いでいった。

エルフ、ドワーフ、竜人、獣人など…なかでもその数を多く増やしたのは人間だった。

進みゆく時間に信仰を忘れてゆく生物も多かった…

信仰を失った神々はその役割だけを残して消滅したのだ。

ただ…例外も存在した。

その姿を変えて精霊となった神も居た。

そして神の力を失った生物もまたその姿を変える者も現れた。

獣として…

あるいは魔獣として…

もう一つ…ニブルへイムに流れ着いた物があった。

それは…巨大なクリスタル。

そのクリスタルは流れる水に削られた山の中へと消えたのだった。

ほどなくして…ニブルヘイムに世界の理が生まれた。

エデンに神の姿はなく…

創造神は不可視の神域に座し…そこに至る道を閉ざした。

そして世界の理をただ眺め続けた。

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Portable Fantasia 創作神話 黒乃 緋色 @hiirosimotsuki

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