第31話 ミスリル剣
オークの依頼を達成してから一週間、ウォルタルにアンさんがいる事が日常化されて、話しかけられることも減ってきた。
ボクとアンさんは毎日、早朝から修行、丁度いい依頼があれば受けるといった感じで過ごしていた。
ボクは、纏を使いながらの実践に難航している。ボクの剣もそろそろ折れてしまいそうな気がして落ち着かない。
なので。
「アンさん、ボクの剣がそろそろ折れるんじゃないかと思うんです。今日は武器屋に行きたいです」
「たしかに修行中は安定していても、実践だといつも、出力がッ!って叫んでいるものね」
アンさんはクスクスと笑いながら言ってくる。力んでしまうのは仕方がないじゃないか!
「まぁ、依頼中に折れられても困るわね。もういっそのことミスリル百パーセントの剣を買っちゃいましょう!」
「なんかボクも諦めた、みたいな感じになってるような気がします」
「どうせ買うなら良い剣が良いでしょ?ミスリル百パーセントでも魔力の調整はできるし、今の剣が壊れた時の予備にしておけば良いじゃない」
確かに一理ある。ミスリル百パーセントの剣は今の剣では出せない火力を出す事ができるし、状況に合わせて魔力の調節ができる。ここで変に頑固になって後で後悔するよりは素直に買うべきか・・・。
「そうですね、アンさんの言う通りにしておこうと思います」
「たぶん、私が諦めたときの話しをしなければ、ノア君は素直にミスリルの剣を選んだでしょうね」
どうだろうか・・・。アンさんの言う通り選んでいたかもしれない。
ボクがう〜んと唸っていると。
「でも、ノア君は私の話しでしっかりと力をつけたい思っていることは良いことよ」
「それで無駄に頑固になってしまうんですけどね」
アンさんは、それでも良いじゃない。と言い。
「行きましょうか」
「そうですね!」
ボクとアンさんは武器屋に向かった。
「ここがウォルタルで一番の武器屋よ」
アンさんが連れてきてくれたのは古い店だった。歴史あると言った方が良いだろうか・・・。
アンさんとボクは店に入った。
「いらっしゃい、ってアンじゃないか」
「久しぶりね、ガンド」
アンさんはこのガンドという武器屋の店主と仲が良いようだ。歳は、三十後半〜四十代前半だろうか。しかし、この店主、筋骨隆々すぎてただの武器屋のオッサン店主とは思えない。
「ガンド、この子はノア君って言うんだけど、この子にミスリルの剣を売って欲しいの。まだ在庫あるかしら?」
「あん?こいつぁ男なのか?弱そうだぞ?ミスリルの剣を売るほどの実力があるのか?」
「大丈夫よ、信用できないなら一戦やってみたらどうかしら?」
えっ?なぜかガンドさんと戦う流れに・・・。やはり、ただの店主ではないのか。
「そうだな・・・、おい!ノアといったな?俺を負かせたらミスリルの剣を売ってやる!」
「頑張ってね、ノア君!」
「え?あ、はい、頑張ります・・・」
「ちなみにガンドは元Aランクの冒険者で、鍛治もやっているのよ」
まさか本当にただの店主ではなかったようだ。そして元Aランク冒険者と戦う事になるとは!でも勝たなければミスリルの剣は売ってもらえない。やるしかない!
「ガンドさん!お願いします!」
ボクとアンさん、ガンドさんは武器屋の裏にある広場に来た。
ここで武器を試し切りとかしているのだろう。
「ノア、どこからでも来な」
「では、お言葉に甘えて」
戦いといっても木剣なので大怪我はしないはずだ。
ボクはステップで一気に距離を縮め。
「神速剣ッ!」
「うおッ!?」
ズガガガガッ
「アンが言うだけはあるじゃねぇか!」
「ありがとうございます」
ただ、上手くガードされた。元とはいえAランク冒険者、強い。
「次はこっちから行くぞ!」
ガンドさんは縮地を使いボクの目の前に現れた。そして木剣で薙ぎ払ってくる。
ボクはそれをガンドさんの頭上を跳んで回避し、体をひねらせ、その勢いを使い、攻撃する。
「ぐぅ!」
ガンドさんは一瞬怯んだ。が、反撃してきた。
左、右、左、上からの切りおろし、そして突き。ガンドさんの攻撃は早いがボクはそれを回避し、カウンターを入れる。
そして。
「ノア、俺の負けだ。お前さんのスピード、戦闘スタイルは剣姫そのもの。まだアンには届かないが俺では勝てないな」
「という事は・・・」
「あぁ、売ってやる!まさか本当のアンの弟子だとはな!冗談だと思ってたぜ!」
ガンドさんはガッハッハと豪快の笑い優しい笑みを浮かべた。しかし、ガンドさんは、ボクのカウンターを食らっていたのにビクともしなかったぞ・・・。
ガンドさんのお店でミスリルの剣を買い、宿に戻るには早すぎるという事で。
「何か良い依頼ありますか?」
ギルドに来ました。
「う〜ん、なさそうねぇ」
「あ、この依頼見てください」
ボクは一つの依頼をアンさんに見せた。
それはスライム討伐だ。しかし報酬が高い、正直気になる。
スライムは魔物の中でも最弱と言われていた。だが、ここ数十年でスライムは危険な魔物と言われ始めている。その理由は種類の多さにある。マグマのスライムや、猛毒のスライム、別の魔物に姿を変えるスライムなど、脅威のあるスライムが発見されている。もちろん無害の優しいスライムもいる。そういうスライムはペットとして人気なのだとか。
「スライムなのに報酬が高いわね、もしかして新種のスライムかしら?」
「気になりますね」
「場所はピピ鉱山・・・、ピピ森林の中にある鉱山ね、これにしましょうか!」
ボクとアンさんはスライム討伐の為、ピピ鉱山に向かう事になった。
幼馴染の恋人が寝取られたけど美しい剣術に恋をしたので大丈夫です サボテンの花 @toshi0721
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