高校1年生1学期

 4月14日。入学して5日。思っていた高校生活と違うことに気がついた。毎朝1時間半かけて電車で学校へ行き、一校時55分授業。帰りに遊ぶ場所もないし、すでに数学なんて授業についていけるかすら分からない。とりあえず、希望制の課外授業の数学を受けることにした。


 4月18日。部活に入ろうと思って中学校の時に所属していたバレーボール部に鈴華を連れて体験に行った。葉月も誘ったが、用事があるらしく先に帰った。部活に参加するが空気が怖い。もう入部している1年生は春休みから練習に参加していたのだろうか、なじみに馴染みまくっている。レシーブ練習や、サーブ練習をしているうちにもう7時。ここから、1時間半かけて帰ると8時半になる。この部活に入ってやっていくのは無理そうだ。一方で鈴華は、なぜか男子バレーボール部の方にいる。「明日から来ます!」そう言っているのが聞こえる。あいつはマネージャーをするのかと悟った。


 6月10日。今日は雨が降っている。雨が降っている日は、駅から学校まで1時間に2本しかないバスに乗らなくてはならない。しかもスクールバスでもないのに同じ高校の生徒でぎゅうぎゅう詰めの満員バスである。これまで何回か経験してきたがなんとも辛い。バスが止まる瞬間に誰かがバランスを崩すとどこからか舌打ちが聞こえ、喋ることさえ許されない空気になるのだ。今日もそうなるのか。「今日休まない?」鈴華が言った。「バスだるいし。」鈴華もそう思っていたかと安心した。確かに休むという手もある。「どうする?」私がそう言うと、「もう、学校サボるって友達にLINEしたわ。」と葉月が言う。仕事がはやい。じゃあ次の駅で降りようということになった。私も友達に『今日、気が向かないので休むね』とLINEをした。鈴華は友達にだけでなく部活の先輩にも休むことを伝えていた。やはり部活に入ると大変そうだ。

 駅で降りた私たちは、携帯電話の電源を切って、近くのショッピングモールへ行くことを決めた。私たちの携帯には、まだ高校生ということもありGPSがつけられている。今回休んだことを親に知られる訳にもいかないので

 携帯電話の電源を切るという行動に至った。

 駅からショッピングモールへ歩いている間、急に不安が私たちを襲った。『制服で平日にショッピングモールに行っていいのか。』『学校に通報されるのではないか。』確かにと思ったが、『行事の振替休みといえば大丈夫だろう』という鈴華の一言で解決した。考えてみれば、今どき制服で高校生が出かけるのも不思議ではないし、今は文化祭シーズンなので不審がられることはないのかもしれない。

 歩いて15分ほどでショッピングモールへ着いた。ショッピングモールでは、おそろいのパーカーを買ったり、プリクラを撮ったり、カラオケをしたりした。お昼は、母の作ったお弁当をフードコートで食べた。周囲から見てフードコートで女子高生3人がお弁当を食べているというのは、なんとも言い難いものであったと思う。家には4時半頃に帰った。いつも親より先に家へ帰っているので不審がられないようにするためだ。なんとか一日が終わった。ものすごく楽しい1日であった。これが私たちが女子高校生をやめる第一歩である。

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女子高校生やめました。 @warai888

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