第2話 そして、二人で図書館へ・・・

 「葉隠」が生んだ奇妙だけど新鮮な出会いを果たした二人は、隣駅の図書館にいくことにした。気温は22度。涼しいくらいな感じもするけど春にしては暖かい。絶好の桜日和だ。「待ち合わせ」という言葉すら新鮮で緊張もしてしまっているメイの姿がそこにはあった。





 ○






 昨日、私たちはあの衝撃的な出会いを迎えた後、連絡先を交換し合った。その後金髪ギャルこと、カオンからすぐにLINEの返信があった。


「ジャジャーン良いでしょ!!ウチの書籍棚!!沢山あるでしょ〜」

 そこには本当に沢山の本が陳列されていた。結構見知った本もあるようにみえるけど、本当に似た本を読んでいるらしい。


「すごいすごい!!カオンさんってすごい持ってるんだね書籍!」


「メイち〜呼び方〜だぁから仰々しくしなくていいよ!マジで!」


「あ、あの、文面で緊張しちゃったじゃ、カオンちゃんでいいですか……??><」


「か っカグ、あ〜ま〜いいよーそれでいいよ!」


「あの怖く思えていたかぐちゃんがこんなに趣味が合うなんて知らなかった……。」

 命はニヤニヤしながら一人寝室で寝巻きを羽織り呟く。


 その後は、二人の読んだ本が結構共通していることが発覚したことですごく盛り上がった。なんなら命の名前の由来の小説家、ルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』まで話のネタにカオンがするので、メイもそれに応戦している。盛り上がりすぎて深夜を回った頃にカオンちゃんから「図書館明日とかどう?」と尋ねられたのでメイは即決した。


「カグちゃん……ふひひ〜明日も会えるなぁ〜。デートの約束かなこれ!笑」


 ニヤケが止まらない。そんな状態で就寝した。





 ○






 そして舞台は冒頭へ。二人は隣駅のバス停で合流した。

「今日は良い本読めるね〜!」


「そうね〜。けどアンタそこは、こんなに天気がよかったら、天気がいいね〜とかにならんのか。」


「天気の子は面白くていいって思ったよ。」


「あ〜うん。わかる。なんかアンタのこと本当わかった感じするわ。」

 さすがにカオンもこの文学には呆れている様子だ。


「アンタって本当に、文学好きなのね。」


「カオンちゃんもでしょ!」


「そうね……。」


 そんな話をしていると、白い大きなオブジェの噴水が見え、その先に図書館が見えてきた。建物自体は古いが、非常に大きくて立派な作りがされている図書館だ。


「都会に比べても無駄に広い感じするね〜。ここ美術館みたいだね。」


「そうだよ。ここはなんてったって美術館と図書館が合体した複合施設でアタシの自慢の図書館なんだ!この町の町長が無駄に文化政策を推し進めてた時期があるみたい。」


「そうなんだ〜。その町長さんって素敵だね〜!」


 そう言われたカオンはなぜか嫌な顔をした。


「まぁ、そうね……」


 その様子を見ることなく図書館そのものに見惚れみとれているメイであった。

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ギャルと文学少女の小競り合い 秋克凜 @akikatu_rin

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