相手への無理解から始まる、えぐみと切なさの入り混じる恋物語

きわめて読者を選ぶ作品です。
恋は甘く爽やかなもの――そんな幻想だけではない、ビターな恋模様を楽しんでみたい人は、ぜひご一読ください。

少女の一途な恋物語のはずなのに、掛け違えたボタンの如くことごとく裏目に出る序盤が、主人公とヒロインとの関係を、ひどく歪んだものにしたまま展開してゆく。

特に、序盤はやや過激な性的関係を示す描写も多く、そういったものが苦手な方にはお勧めできません。また、処女信奉者には即回れ右をお勧めします。

けれど、きれいごとだけでないもどかしい恋模様、傷つけあってしまってからの人間ドラマを楽しみたい方にはお勧めです。
えぐみのある、どうしようもない二人の関係を、心の内面を、繊細な筆で描き出していく表現が、実に味わい深いです。

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