第2話
謎の光を見て、頭のおかしい人と出会った日から1ヶ月が経っていた。
結局訳がわからないまま押し切られ得体の知れない部活に入部してしまった。
別に宇宙人にも未確認飛行物体にも特に興味は無いので、得たものと言えば宇宙人ばりに訳がわからない先輩ぐらいだ。
訳がわからないと言っても流石に1ヶ月も経てば多少は分かってきた。
宙さんは同じ学部の3年生だった。腰に届く程長く、綺麗な黒髪。顔も美人の類だと思う。ただとにかく変人なのだ。友達がいないらしくいつも嘆いている。そりゃそうだ。宇宙人探索部なんて部活に所属して、夜な夜な未知との遭遇を求めて徘徊してる人(成人済)と積極的に関わりたいとは考えないだろう。
結局俺が入部を決めたのも、「お願い!友達がいないの!話し相手が欲しいんだって!」と泣きつかれたからだ。
宙さんは美人だ。美人にそんなこと言われたら断れるわけがない。俺の鼻の下も伸びていたことだろうよ。
空きコマに時間を潰せる場所があるのは有難いとは言っていたが本音は宙さんにつられただけだ。
問題は入部した後だった。これ程までに自分の選択を悔いたことはないね。
宇宙人を探しに行くと夜中に歩いて30分以上かかる山に連れて行かれたことは1ヶ月で5回もあった。
部員が少ないからと大学のメインストリートでビラ配りをさせられた時は怒る感情すら消え失せたね。あまりの羞恥に記憶が曖昧だからな。
ダメだ。この1ヶ月のことを思い出すと頭が痛くなってくる。悪魔の様な記憶に蓋をしようとした時ちょうど宙さんから連絡がきた。
「今日は何か感じる」
新興宗教の教祖みたいなこと言うな。
どうせ今日は出会える気がするなんて言って駆り出されるのだろう。
明日は寝不足かと諦めるぐらいには俺も成長したよ。でも一応抵抗してくかな。意味ないだろうけどな。
結局俺はその夜も出会えもしない宇宙人を探して宙さんと徘徊したのだった。
宇宙人を探そう! さもとら @Semtor3
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