小さな手の導く、眠りの森を抜けた先、愛(かな)しい目醒めまであと少し

何らかの理由があって眠り続ける人の夢にアクセスし、目醒めへと導く人々の物語です。
不思議な幻想の森にいる少年『蒼一』が主軸となり、夢の世界に迷い込んでしまった人を現へと呼び戻します。

現実には、哀しい瑕疵があるかもしれない。
現実には、愛しい誰かがいるかもしれない。
止まった時間が動き出すまでの物語が、優しいトーンで紡がれていきます。

実は『蒼一』自身にも、小さな体にそぐわない辛い事情があります。
大きな秘密が明らかになり、『蒼一』自身が事実を受け止めて前へ進もうとする姿に、胸が詰まりました。

夢から目醒めた先に、希望あふれる現実の未来を願わずにはいられません。
切なく、温かな読後感でした。

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