第8話「ここは嫌な予感がします」
START BY クモリ/CLOUDY [冷静沈着な老人] -テスト終了-
今回使うのは赤い箱だな......いや......青い箱だ。遠くから視線を感じる。
スコープを覗くと、Kタワーの屋上にスナイパーライフルを構える男を見つけた。そのライフルは明らかに俺たちに向けられていた。
俺は青い箱から小型の注射器......麻酔弾を装填した。その時、Kタワー付近の地上からペットボトルの蓋が飛び上がった。SCRAが言っていた
こちらを狙うスナイパーと標的が重なった瞬間、俺は引き金を引いた。
麻酔弾は空を飛び、先端の針が蓋の表面を貫く。その勢いのまま、麻酔弾は男の額に吸い寄せられて行った。
「......CLOUDY、さっきのって麻酔弾じゃないですか?」
ライフルを傘の生地に戻していると、スマホを見ながらSCRAが問いかけてきた。
「......SCRA、まさかとは思うが、情報が漏れている心当たりはあるか?」
「どういうことです?」
「Kタワーに俺たちを狙っていた男がいた。スナイパーライフルを構えてな」
「......わかりました。本部に通達しておきます」
そう言いながらSCRAはスマホで電話を行った。
しばらくして、SCRAはスマホを下ろしながら笑顔でこっちを見た。
「テストの結果ですが......満点ですよ。あんな小さいペットボトルの蓋を撃ち抜く正確性、さらにこちらを狙う敵を発見する観察力......さすがは"
「その呼び名は辞めてくれ......痛々しい」
「さて、いよいよ本題ですが......その前に昼飯にしませんか?」
「......まだ昼飯には早すぎる」
「なに言っているんですか。仕事は昼からですよ? 今のうちに食べておかなないと仕事中にお腹が痛くなるか昼飯を諦めないといけなくなりますよ」
NEXT TO リン [リボンを着けた高校生] -待ち合わせ場所にて-
なんなの、これ......
待ち合わせ場所であるKタワーの前で、あたしはガードレールに置かれたペットボトルを眺めていた。布カバーをかけられているから、中身は見えない。そもそも液体が入っていたかもわからない。
このペットボトルの蓋が、先ほどあり得ない高さまで飛んでいたのだ。ちょうど......このKタワーを越えるぐらい。それから落ちてくる気配が全然ない。
街を歩く人たちの中にはさっきの光景に注目していた人もいたと思う。だけど、すぐに歩き始める。じっと見続けているのはあたしぐらいかな。
それにしても......遅いなあ......
このKタワーで待ち合わせだって連絡したのに、遅刻してきたあたしが待つことになるなんて......
......ギンホちゃん、今なにしているのかなあ。
NEXT TO ギンホ [銀髪のヒューメリアン] -下水道での返り討ち-
「ぬびゃあっ!!?」
パチンコを持っていた男性が宙を舞い、壁に叩きつけられた。下水道に悲鳴がこだまする。
「てめええええ!!」
先ほどまで倒れていた、警棒を持った女性が後ろから襲いかかってくる。
私は振り返らずに女性の警棒を持つ右手を掴む。そして、女性の足を蹴り、浮かせる。そのタイミングで女性を背負い、地面に叩きつけた。
「ぐあっ......!!」
女性は再び気を失った......のだろうか? またさっきのように起き上がる可能性があるが......
私は倒れている女性に近づいた。
グサッ
......
腹にナイフを受けた。
「へっ、あたいが二度も気を失ってたまるか」
そう言って女性はナイフを引き抜いた。
「......え?」
女性の表情から笑みが消えた。
他人だったら、真っ赤に染まっていたんだろうか。
私の腹に空いた傷穴からは、少量の透明な液体が流れ落ちている。そして、傷穴に貯まった液体が固まり、ガラスのように透き通った
「く......来るな......来るなバケモノ!!」
女性は怯えるような表情で立ち上がり、逃げ出した。しかし、倒れている人物に足を引っかけ、転倒した。
周りで倒れている人たちは、女性が私に襲ってきた時に一緒に襲ってきたが、今は無力化している。
「落ち着いてください」
その言葉だけでは落ち着いてくれないだろうから、女性の腕を掴んだ。力を入れる必要はない。恐怖で動けないだろうから。
「あなた、腰の骨を折った男を知っていますよね?」
「......」
「"あんた、そいつの仲間なんだろうね。アタイたちの通路を懲りもせず荒らしにきた理由、洗いざらい吐いてもらおうか"......あなた、そう言いましたよね?」
「......」
「あの男がここに訪れたことがある......そうですね?」
「......」
......もうそろそろ、ここから立ち去るべきだろう。
「......あなたの模索はこれまでにしておきます。だけど、忠告しておきますよ。ここは嫌な予感がします。何か用事があるなら早めに行かないと大変ですからね」
ヒューメイリアンは嫌な予感を感じる オロボ46 @orobo46
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ヒューメイリアンは嫌な予感を感じるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます