会計詩

幽霊をたべる

はい、ここです。

小学生の女の子が殺されて、犯人は捕まっていません。

それ以来幽霊が出ると噂が立ちまして。

私ら不動産屋もオーナーも困ってるんです。

え？死者の幽霊なんかいない？

死んだら終わりですか。

じゃああなたはなにをするんですか？

残留思念？

そういうのはあるんですか。

へえ、女の子が殺されたときの恐怖の感情が残ってるんですか。

なるほど。

その残留なんとかでみんなゾッとしてこわがるんですね。

それはどうにかできるんですか。

うわあ、地面からなんか黒いもやが出てきました。

あれあれ、あなたの口に吸い込まれて、あー掃除機みたいに。

あなた、なんだか嬉しそうですな。

うまい？

残留なんとかを食ってるんですか。

へえ～～、たいしたもんだ。

やあ、こないだはどうも。

これ、お礼です。

あの土地のオーナーも挨拶したいと言ってたんですが

あのあと病気らしくて、手も足も動かせないそうです。

それにこのわずか一週間で財産もすっかり無くしちゃって、

どうなってるんだか。

え？あのオーナーが犯人？

それ幽霊を食った時わかったんですか？

ああ、残留…思念でした。

ときに死者の幽霊なんていないとおっしゃってましたが、

生者の幽霊はあるんですか？

ほら、生霊とか言うじゃないですか。

ほう、みんなあるんですか。

あなたはそれも食べなさるので？

ほうほう、残留なんとかより旨いんですか。

それで食われた人はどうなるんです？

あれ、ニヤニヤするだけで教えてくれないんですか。

ところでこの先の交差点で昨日死亡事故がありましたよ。

ほう、すぐに行かれますか。

美味しいといいですな。

ではまた。