楽園
雨世界
1 僕と君は、きっと、この場所で自由な夢を見る。
楽園
登場人物
僕 人間
声 機械の女の子
プロローグ
僕と君は、きっと、この場所で自由な夢を見る。
本編
お願い。あなたの声を聞かせて。
僕は君のことを救えますか?
君は僕のことを救ってくれますか?
……君と僕は、この不思議な世界を救うことができますか?
楽園にたどり着くと、「初めまして」と言う不思議な機械合成音の声が僕のことを出迎えてくれた。
それは、女の子の声だった。
「ようこそ。楽園(パラダイス)へ。私たちはあなたのことを歓迎します」とその機械の女の子の声は僕に言った。
「どうもありがとう」と僕は言った。
すると機械の女の子は「こちらこそ。どういたしまして」ととても明るい声で僕に言った。
僕は白い大きなドアの前に一人で立っていた。
その白い大きなドアが楽園の入り口だった。
僕がそのドアノブも、とってのようなものも、あるいは呼び出しボタンのようなものも、なにも付いていない(どうやって開けたらいいのか、方法がわからない)ドアの前で立っていると、その機械の女の子は「では、ドアを開けます。そこから楽園の中に入ってください。ようこそ。楽園へ! オープンザ、ヘブンズドアー!」と大きな声で言って、(まるで遊園地のアトラクションのガイドさんの声みたいだった)すると、僕の前にある白い大きなドアが一人でに、ぎー、っという音を立てて、開いて行った。
僕はその白い大きなドアから、楽園の中に入っていった。
すると、僕の背後にある白い大きなドアは、ぎー、と言う音を立てながら、また一人でに動いて、勝手に閉じてしまった。
……まるで僕の逃げ道を、そうやって塞いで、封じ込めるかのようにして。
僕はそんな白い大きなドアが一人でに閉まる風景をその場所に立ち止まって、じっと見てから、「どうかしましたか? さあ、先に進みましょう。この先には、もうどこにも、危ない場所はありませんよ。なにせここは楽園なのですから」と言う機械の女の子の声に誘われるようにして、「うん。わかった」とにっこりとなにもない空間に向かって笑いながら言って、それからゆっくりと白い道の上を歩き始めた。
僕の進んでいく道の先には、『ようこそ。楽園へ。私たちはあなたのことを歓迎します』の文字の書かれた、大きな看板のようなものが立っていた。
その看板の文字を読んで、僕はにっこりと笑った。
楽園 雨世界 @amesekai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。楽園の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます