わたしの中でとても刺さった作品。とても作者の方は詳しく、知識がありとても文学的で読み応えのある作品でした。
現実と虚構をゆらり行き来する絶妙な語りは作者様の十八番。スティーブンスンという偉大な作家を軸に、今世界を覆っている状況がフィクションを交えながら描かれます。様々な読み方が出来る懐の深さも持ち合わせている本作は、改めて物語という物の素晴らしさを教えてくれる気がします。今、この時期に読めて良かった作品でした。
第1話、小学生の視点でウイルス後というか、ウイルス中の世界が描かれます。謎っぽく話が進められてゆきます。式日という行事に向けて。第2話、お母さんに視点が移りお母さんの半生がすこしづつ描かれてゆきます。スティーブンソン「宝島」の話も出てきます。本編が終わって、エピローグへ突入。お母さんの思い、わたくしにはなかなかの狂気に思えました。
私は人の親だ。現実のウィルスの状況を加味したお話です。メッセージ性あります。KAC2020のお題盛り。祭り、拡散する種など。