見覚えのない場所

椎名由騎

寝て起きて見たら草原だった

「ここどこ!?」


 着替え終えていつものように出勤しようとしたらそこは草原だった。










 俺は苅間優紀かりまゆうき。中小企業で営業職を務めている営業マンだ。そんな俺が突然こんな何もないところに来た理由が分からない。落ち着く為にもう一度へ玄関の中に入る。そこは何も変わらない俺の自宅だ。それなのに外は草原。頭は混乱する一歩だ。


「一先ず……昨日何があったかだけ考えよう」


 俺は昨日会った事を一つ一つ思い出しているといつもと違った事が一つ合った事を思い出す。


「そう言えば……昨日変な婆さんが声をかけてきたっけ」


 昨夜、俺はいつも通り激務の営業を終え、帰路についていた。いつも通りコンビニで夕飯を買い、とぼとぼと歩いていた時に、暗闇から突然を声を掛けられた。俺は驚いて振り向いた先には占い師らしき老婆が水晶で何かを見ていた。


「突然なんでしょうか」


 俺は丁寧にそう言うと、老婆は一言「貴方、生まれる世界を間違ったね」とそれだけ言った。「はぁ?」と一言言うと、薄気味悪くなり俺はさっさと自宅へと向かった。その事以外はいつもと変わらない日常を過ごし、俺は就寝した。そして現在に至る。


「ラノベである異世界だったりするのかと思いたくなる」


 俺は再度外へと出るも先程と同じ草原が広がるばかりで俺の自宅以外何もない。どうしたものかと思っていると、段々と何かが走ってくる音が聞こえる。再度そちらに顔を向ける。


「なんだ?あれ……」


 何かが走ってきているのは分かったが何か分からず、目を凝らしていると、だんだんとそれがはっきり見えてくる。それは何か大群のようでまるで動物……いや、違う。

 灰色の巨体で細身のある二本足で走ってくる生き物は……まるで。


「いや、そんなばかな事」


 俺は急いで家の中に入る。そしてドシドシと近付く足音を窓から見ると、そこには絶滅した筈の恐竜の姿をした何かが迫ってきていた。

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見覚えのない場所 椎名由騎 @shiinayosiki

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