マリリン、愛を誓う


「どうか、私をお前の嫁にしてほしい。お前がプロポーズしなかったら、私からプロポーズしていた。イエスと答えてくれるまで、離さないからな?」



 ははは、離さないですって!?


 カモンバッチオッケーよ! もちろんイエスでしゅううううう! と叫びかけて、あたしははっとした。



 ダメダメ、これじゃあダメよ!


 お姉様にばかり言わせて、あたしからは何にもしていないじゃない。



 あたしも勇気を出して想いを伝えるのよ! マリリン、ファイト!!




「あ、あのぅ……あたしもっ! お姉様のお嫁さんにしてもらえませんかっ!?」




 いっ、いいいいい言っちゃったー!


 だってだって、あたしだって!

 お姉様の可愛い子がほしいんだもーーん!!



 お姉様は一瞬うっとりするほど凛々しい真顔になったけれど、すぐに声を上げて笑った。笑いながら何度も頷いてくれた。



「それはいい。魔王の嫁になり、魔王を嫁にする。面白いじゃないか。それじゃお互いに嫁ということで、これからもよろしく!」



 ああ、これがお姉様の心からの笑顔なのね。


 美しいお顔が柔らかく解けて綻んで……とても眩しくて、尊いですわーー!!




 ということでマリリンに、素敵なお嫁さんができました。そしてマリリンも、お嫁さんになりました。


 その後すぐに自己紹介し合って、お名前も教わったわ。けど、今もお姉様と呼ばせていただいているの。だってぇ、名前でお呼びするのはまだちょっと恥ずかしいんだもーん!


 ええ、帰ってきたお父様にもお姉様を紹介して報告したわ。


 そしたらどうなったかって? そりゃもうめちゃくちゃ怒られたわよ!

 まだ成人も成龍もしていない半人前と半龍前が嫁をもらって嫁に行くとは何事だ! ってね。


 実はお姉様も、まだ未成年だったのよ。あたしと同じ、十七歳なんですって。


 そんなわけであたし達、あと数年は婚約者として過ごすことになったの。


 でもあたしはお姉様のお側にいられるだけで、とっても幸せよ。お姉様と一緒に花嫁修業してるんだけど、合間にこっそりイチャイチャしてるわ。あ、これはお父様には内緒ね!



 んふふ、内緒ついでにもう一つ秘密を明かすとね……マリリン、お姉様のためにとっておきの新婚旅行を準備しているの。


 知らん顔を装って聞き出した、お姉様の故郷の国。


 お友達のドラゴン達に協力してもらって、その地をお姉様の手に取り戻す計画を進めているんだあ。新居もそこに建てる予定よ。もちろん、あたしも住める大きなお城をね!


 そこでドレスを着て、夢だった舞踏会を開くの。本物のお姫様になったお姉様と、同じくお姫様になったあたしとで仲良く毎日踊るのよ。


 お姉様、きっとビックリするでしょうね……ああ、忘れずにキャベツとマンドラゴラを植えなきゃ。赤ちゃんがやって来る時が楽しみだわ。



 お嫁さんのためにお嫁さんとして、マリリン、頑張る!!




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魔王「お前に世界の半分をくれてやろう」勇者「嫁にしてくれ」魔王「えっ!?」 節トキ @10ki-33o

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