第4話「真実」

2000年9月17日 日曜日 13:30


私はお昼ご飯を食べ終わった後、圭介を含めた友達と遊ぶ約束をしていた。

たまには、外に出かけてゲーセンやカラオケにでも行くのは悪い事ではないだろうと思い、その誘いに乗ったのだ。


今、思えばあの本が私を護ってくれたのだと思える。正確には、お爺さんは分かっていたのかもしれない。

私の寿命が間近に迫って居る事を。


そして、その日、圭介はとても浮かない顔をしていた。

楽しそうではあるのに、何処か心の奥底で怯えてるような顔だったのを、今は思い出せてる。


きっと、彼も真実を知っていたのだろう。

知っているからこそ、私を命を懸けてでも守ろうとした。あの本はその制約だったのかもしれない。


勿論、これは推測に過ぎなかった。私も、そんな事があったなんて知らなかったのだから。


――――それは交通事故だった。それも悲惨過ぎる。

14時ごろ、私は公園に行ってその途中、コンビニによって飲み物を買いに行ったときだった。

コンビニ前で待っていた圭介やその友達全員含め、突然突っ込んできた大型車両が私の目の前で、突っ込んで、一気に轢き殺していったのだ。


突っ込まれたコンビニの中は、正に地獄絵図だった。

私の目の前には、先程まで、生きていた筈の友人の動く気配もしない真っ白な眼。

私の大事な幼馴染の圭介は、身体は明らかに変な方向を向いており、

周りにいた人々は恐怖の声をあげていた。

私は、そこで気を失った。実害は全くなかったのだが、余りの悲惨さで意識を失ってしまった。

そこから、二日程眠るように私は病院で寝付いていたのだ。


死者:8名

重傷者:3名

軽傷者:1名


そう、軽症者1名は私の事だ。私は奇跡的に助かったのだ。


勿論、助かっただけで今でもこの事を思い出すと、辛くなる。


―――けれど、あの本の意味は分かったかもしれない。

私はなんだと思った。

今後は、私の番、私が誰かを護るためのあの本を使おう。勿論、使わない事には越した事は無いけれど。

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その時、蝶は舞い降りた ステラ @sazann403

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