第20話 スタート
「や、おはようスズ」
モモは毎日私より早起きで、朝ごはんを作ってくれています。料理はモモの当番で、私は洗い物とか掃除とかをしながらちょっとずつ料理を教えてもらっています。モモは私の作った料理が食べたいみたいだけど、やっぱりモモの料理がおいしいです!
「さっ、そろそろできるよ~って、寝起きで食べれる?」
「うん、大丈夫。モモのごはんおいしいから毎回食べ過ぎちゃうよ」
「たっくさん食べてくれるのは嬉しいけど、食べ過ぎはだめだよ?」
「うん」
「スズ~。そろそろテストだけど、どう? 大丈夫そう?」
「まだちょっと……ユキ先輩に教えてもらってるから下がることはないだろうけど、内容も難しくなってきてるから不安、かなぁ」
モモは少し考えている様子でしたが、直ぐに何かを思いついたようで。
「私も手伝ってあげよっか?」
「え?」
「ほら私、教科書は即暗記できるし、授業もちゃんと聞いてれば勉強できるし」
そうだった。モモって超ハイスペック少女だった、忘れてたけど。
うーん。モモに勉強教えてもらうのって初めてだけど……モモだったら心かなぁ。
「じゃぁ お願いしようかな。よろしくね」
「うん。任せてよ! っていうかユキ先輩から大体の範囲聞いてもう内容覚えちゃったから何でも質問してくれていいよ!」
「モモ、それちょっと凹む……」
「わーごめん! でもでもっ全力でスズのことサポートするよ! そもそもスズはこうやって継続して頑張れてるからすごいよねぇ」
「どういうこと?」
「ほら、私は今が一番大事って思ってるから先のこと考えて頑張ることなんてできないなぁって思ってさ」
「それはモモが超直前からでもどうにかできるからでしょ。多分だけど大体の人はやりたくなくても頑張ってるんだよ……」
「まぁ確かに私は後回しにしてるところはあるけど、少なくともスズは私にはできないことをやってるんだからすごいんだよ。スズはもっと自分に自信もっていいと思うんだけどなぁ?」
「それならモモの方がよっぽどすごいよ。何でもできるし……っていうかモモにできないことってあるの?」
「そりゃぁあるよ。でもね、何でもかんでも自分の思い通りになったらそれはあんまり楽しくないんじゃないかなぁって思うよ。ある程度予想外のことが起きないと代り映えがしないから毎日がずっと同じになってつまんじゃないかな。だから今のままでいいんだよ。まぁ、もう二、三個どうにかしたいことはあるけどね」
「モモにもどうにかしたくてもできないことってあるんだね」
「そりゃああるよ。でもどうしようもないことでもないからちょっとずつでも良くなっていったらいいなぁって思ってる。そんなことよりスズ、そろそろ勉強しなくていいの?」
最近はついついモモと話してる時間が多くなってモモに注意されます。私が勉強してる間モモは気を使っているのか、遊ぶことは絶対にありません。家事とか掃除とかしてます。モモのそういうところ嬉しいなぁ。
でも今日はちょっと違ったようで。
「ささ、勉強しようか」
今日は私の左隣に座って一緒に勉強してくれるようです。モモが近くにいるとあったかいなぁ、距離的にも。
モモは私が分からない問題を教えてくれました。詰まったらすぐにって感じじゃなくてしっかり考えても分からない時だけ、私が分からないってことを言ってないのにちょうどそのタイミングで教えてくれるというスーパータイミングを連発してくれました。モモ凄い……
「ねぇモモ。絶対問題集もやってるよね?」
「あー……ばれた?」
「だってさっきっから割と難しい分類の問題やってるもん。前のテスト勉強の時に知ったけどこの辺教科書に載ってないもん」
「えへへ~。実は問題集もやったんだよ。基本の解き方は覚えてるから問題解いて解説見て問題集までほぼ完璧にしといたんだ。スズに間違ってること教えちゃったら大変だからね」
「ちょっとくらい間違ってても別にいいのに」
「いいや、それは私が許せない。やると決めたからには半端はしないよ! スズのためだもん!」
「ありがとう。……前からちょっとだけ気になってたんだけど、モモってよく私のためにって色々してくれるけど、なんで?」
「……え?」
千の鈴の華を尋ねて バル@小説もどき書き @valdiel
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