ロズップの探検

@Kumoyuri

第1話

探検家ロズップ


 俺は探検家。名はロズップ。嘘付きの鼻の長いスナイパーじゃ無いぞ。俺は見たものをそのまま記録して世の中の少年達に新しい世界への興味を与える仕事をしているんだ。

 そして今日行くのは、【幻の天使】を探しに行くんだ。

 天使といえば、鳥のような白く美しい翼と電気屋にあるフープ型の円盤を頭につけた白いワンピースを着た少女のことだ。本来なら、死んだ後、天国でお会い出来るもののはずだが、最近はその天使を見るという話を海外の記事で見かける。

 ということで実際に会ってみようと思ったのだ。

 

 【幻の天使】

 ここがその天使が現れる場所の近くの村だ。ミカウリ村というらしい。さっそく現地の人から情報収集をするとしよう。

 「すみませーん、ここらで天使を目撃した人がいるそうなんですが」

 「ああ、たしかに見たぞ!なんか透明な大剣と木の枝を持ってたっけな。あの時、鹿を狩に行こうと森へ出かけたらなんかいたんだよな」

 この後も長ったらしい話を聞かされたがそれは無視して他の人にも聞いてみるとする。

 「あのー、ここらで天使を目撃しましたか?」

 「あらアンタ良い顔してるわね!天使?情報が知りたいならまず買っていきなさいな。エルゥイーン山で取れた美味しい蜂蜜よ。ちょっと舐めてちょーだい!」

 とまぁこのおばさんからも有益な情報は得られなかったしなんなら蜂蜜を買わされた。1500円くらいの高いやつを。おっと話が逸れた。次だ、次。

 「はぁい、少年。ここら辺で天使を見かけなかったかい?あと要らないと思うけど蜂蜜いる?」

 「天使さんのことー?エルゥイーン山に行ったら木の枝持った白い女の子がいたよー!おばさんちの蜂蜜美味しくないからいらなーい。それじゃあね!バイバイ、おじさん」

 おじさん……か。俺まだ20歳なんだけど。まぁいいか。さて、一回情報を整理するとしよう。

 ・天使は長い枝と透明な剣を持っている

 ・エルゥイーン山にいる

 ・蜂蜜は美味しくない


 こんな感じか。つまりその山へ行けば会える、そういうことなんだろうか。今日はもう暗いから明日の朝に行くとしよう。


 「あらいらっしゃい。一名様でいいかしら?」

 「俺の周りに何か見えるかい?」

 「いいや、何もいないね」

 「つまりそういうことだ」

 「一名様ですね。ではごゆっくりどうぞ」

 俺は宿のおばさんに案内され部屋へ向かう。てーれーてーれってーー

 懐かしい音楽が聞こえると朝になっていた。カーテンを開けゆっくり体を起こす。

 良かった、晴れだ。これで調査に行けそうだな。


 【探検家、調査を開始する】

 山を登るにあたって、いくつか物を購入しておいた。紹介する必要はないと思うので無しとして、さてどこにいるんだろうか。ちなみに昨日おばさんにもらった蜂蜜は持ち歩くことにした。天使が好んで食べるかもしれないからね。


 ----2時間後-----


 迷った。これは終わりだな。

 「おじさん、どうしてこんなところにいるの?」

 だから俺はまだ20歳だって、と言おうとしたところで口が止まる。天使だ。そこにいたのは天使だった。

 「天使…?君の名前は…」

 「たけのこ」

 「たけのこ?!あの霊長類最強の人が好んで食べるお菓子???」

 「れーちょーるいさいきょー?あたしはたけのこ!」

 天使はたけのこだった…?????

 いやしかし、聞いていた通り長い枝を持っていた。透明な大剣は嘘だったのだろうか?

 「君、帰り道とかわかる?」

 「あっち!あっち行って下ったらみんなのところにいけるよ」

 「ああ、ありがとう。助かったよ」 

 俺は天使に言われ『あっち』に行った。

 ふり返るともう誰もいなかった。そして目の前には崖が。危なかった。

 「あらアンタ!こんなところで何してるのよ!」

 「はい…?」

 「アンタ…天使様にあったんでしょ?生きててよかったわね」

 蜂蜜を売りつけたおばさんに連れ戻され、宿のところまで戻ると、おばさんに怒られた。

 聞いたところによると、彼女はソウルイーターと呼ばれる悪魔のような存在らしい。天使とはなんだったのか。長い枝を持っている日は天使で透明な大剣を持っている日は悪魔だとされているらしい。好物は蜂蜜だとか。あの時無理やり買わされた蜂蜜が役に立ったことにホッとする。

 ちなみに、透明な大剣を持っている時に遭遇すると、その剣で体を切られ魂が破壊され廃人になるらしい。


 結果。。。会えたのは天使のような見た目をした殺人鬼だった…という解釈でいいのだろうか?

 謎は深層に包まれていく……

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