家庭内狂気

ラテピエロ

第1話家庭内狂気I

今日は天気の良い日曜日だった。

N氏はこの春から小学生になった息子の太朗と家でゆっくりと過ごしていた。

最近太朗は母親と料理をよく作っていて、この間はN氏が帰宅すると焼豚を晩飯に作っており、独特な風味がして美味しかった。

「パパ、外に遊びに行っていい?」

期待に満ち溢れた顔で太朗はたずねた。

しかし、N氏は

「だめだ。この近くでおじいさんがこの間殺されてしまった事件があっただろう。犯人はまだ捕まっていないんだから。」

それでも太朗は、

「大丈夫だよ。」

と引き下がらない

大丈夫な訳がない、そう言って、N氏はなんとか太朗を抑えて、太朗はつまらなそうにテレビを見始めた。

料理番組だった。

よくある料理研究とアシスタント2人で進められる番組だ。

手際良く料理が作られていく。

やがて美味しそうな料理が完成した。

とても簡単だったので最近家事を全てこなしているN氏は

今度作ってみるか、と思っていると

太朗がふいに小声で

「あの料理研究家はなぜ横にいる美味しそうな食材を使わなかったんだろう。」

とつぶやいた。

N氏は見つかった死体の一部が見つからなかったのを思い出し、太朗が言っていた「大丈夫」の意味を理解した。

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