京都タワー


 バスから降り、京都タワーの目の前に二人は、かけつける。

あれは、京都でもっとも高い建物。蝋燭がモデルと言われた事があるらしいが、

あれは、灯台がモチーフらしい。公式サイトでご主人が調べて慌てていた。

マスコットキャラクターが可愛いので、愛されている。


京都タワーの周りには、待ち合わせをしている、複数の人々をみつけた。

周りの人々が楽しそうに、「待った?」「ううん、全然」と、言い合う。

家族を見ていた、だんだんと心細くなってきた。


「主人…、ご主人にゃやああ…。」


僕が、悲痛に耐えきれず、鳴き声をあげた瞬間。後ろから声が聞こえた…。


「この声は…、ランポっ! なんでこんなところにいるんだ?」


僕の後ろには、紛れもなく、…お洒落着用のスーツを着た、ご主人がいた。


「君、僕は編集者と人と、お話しするから帰りは遅いよと、言ったじゃなあないか。」


僕は、先生に抱きかかえられて、きょとんとした。え、そうだったかしら・・・?


「いやあ、途中で怪我をした人にハンカチを渡すことになるし。それに、なんだか、いろいろ長い一日だったよ。」


「はあ、心配して、…損した。」


クリスティは苦笑いして、主人に笑いかけた。


「おや、隣家のお嬢様までいる。ははん、デートかな?」


「違うわよ!」

「違うよ!」


僕らはほぼ同時に、返事した。


「君たち、私を探しに来たんだね、…仕方ない。今日は、まっすぐ帰ろう。」


そう言いながら、編集者という中年の男に、深々と頭を下げた。

その男は、ふふふっと笑いながら、それより深々と頭を下げた。

とっても長い旅をしたような気持ちだった。ご主人をちゃんと見つけられた。

僕は、心から安心して…ご主人の腕の中。

クリスティと、一緒に抱きかかえられて、家に帰った。

家に着く頃には、安心して、ぐっすり眠ってしまっていた…。


「ただいま、さっちゃん、みてみて、今日はね…。」


「まあ、ランポ! あなたのことが、よほど好きなのね。」


「お静かに…!どうやら、眠っている。」


僕は夢の中で、今まで見てきた、冒険話を話して聞かせる夢を見た。


「よく、がんばりました。」


主人が僕を、褒めてくれる夢。


「ランポは、どんな夢を見ているんだい?話せたら楽しいだろうね。」


僕は、満足そうににゃふふふと、笑った。




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探偵猫ランポの冒険 消えたご主人の謎 森川夏子 @Morikawa_natuko

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