第303話 番外編 31


「今度は数学も欠点取った…。」


スマホ越しに表情を無くした旭が呟いた。


「あー、またかよ! ったく…。ほら! 課題たんまり出てんだろ? 出せよ!」

旭はニヤ~っとしながらスマホに数学の課題を写した。」


「…んだよ、おまえ! こんなのもわかんないのかよ?」


「…ウム。」


安藤が問題を解いていると、問題が写っているスマホからバリバリと何かを食べている音が聞こえてきた。


「ちょっと! 問題どけてみろ!」


旭が問題をどけると、せんべいをバリバリ食べている旭が写った。


「おまえ! 俺に問題解かせて、なにノンキにせんべいなんか食ってんだぁーーーーー!」


安藤は頭を掻き毟った。


「そんなに羨ましがらなくても、今度会った時やるよ!」


安藤はハッとした。


今度会った時…。


「おまえ…、さては、俺とデートをしたがってるな?」


安藤は前髪をかきあげた。


「いいよ。どこ行く?」


安藤は目が真っ白になって時間が止まった。


「安藤、何固まってんの? 行きたくなかったらいいよ。」


旭はせんべいをバリバリと食べ続けた。


「行くーーー! 行くに決まってんだろっ!」


安藤は我に帰って言った。


いつも旭からひどい扱いを受けていたので、すんなり誘えた事が意外すぎたのだった。


「おまえ…、もしかして…、俺の事が好きなのか?」


「好きだよ。」


マ・ジ・か・ぁ・ぁ・ぁ・~~~!!!


安藤は感無量で、涙が出そうになった。


「うちのジェームズの次に好き♪」


「お・ま・え、いい加減にしろぉぉぉぉーーーーーーーーーー!」


安藤の雄叫びが、彼の住んでいる町内に響き渡った。



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約束 まんまるムーン @manmaru_moon

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