第6話 平和な世界じゃ武器屋開けませんでした。

・・・・・タイトル通り僕は絶望している。

まさか、法律でこの国では武器の所有は認められていない…

いつからなの?うちの町全然情報入ってこないじゃん!どこにも武器屋ないって当たり前だよ!捕まるよ!


「まあ一般人は武器を持つことを禁じられてはいるが、国の兵士と猟師には所持と使用が認められてんだけどな」


「本当ですか!!?」


「おお…嘘ついても仕方ねえだろ」


「よし…まだ道は残されてる…」


「でも、兵士も猟師も国が許可を出した店でしか武器を買うことは出来ねえ、国から許可をもらった店じゃなきゃ武器を置くことは出来ねえ、昔より武器屋が減った、ほぼなくなったのはそのせいだな」


「国の許可…ありがとうございます!いろいろ調べてみます!」


なんだかんだ言って、僕は雑貨屋をやるはずだったけど武器屋の夢は諦められなかった。

自分で自分をまだまだ子供なんだなと思った。

でも、手掛かりを足掛かりを見つけることは出来た。

認められる方法は正直見当もつかないけど、まずは店を開店させること、自分の加工スキルを上げること、仕入れルートを確立させること。

まずは店を軌道に乗せないことにはすべてが無理な話。


「そうだ!ディガンさん!この町の雑貨屋に連れて行ってください!」


「雑貨屋?ああ家かいいぜついて来いよ」


「家?もしかしてディガンさんって雑貨屋さんだったんですか?」


「俺は商売のほうは全く分からねえ、妻がずっと一人で切り盛りしてるんだが…まあ普通に暮らせてるからな、うまくいってるんじゃないか?」


「ええ…そんな、とりあえず連れて行ってください!」


「ここからなら歩いてすぐだからな迷子になるなよ」


ディガンさんといろんなことを話しながら歩いた。

この町のこと、今でも賑わってはいるものの勇者が魔王を倒す前のほうが経済は潤っていた印象を受ける。

必要だったものが不必要になり行き場を失った人たちがたくさん出てきてしまった。

冒険者も武器の所持ができなくて廃業、フリーランスの傭兵も廃業。

魔物がいなくなってしまった世界で、武器を持つことが争いにつながることを恐れた国は武器を廃止し国で押さえてしまった。

その反発も大きかったそうだ。


「ついたぜ」


「大きい雑貨店ですね…すごい」


「まあ家とつながってるからな」


「入りましょうよ!」


「ああ、ただいまーリノ」


「おじゃましまーす…」


「お前店に入るのにお邪魔しますはねえだろ」


「いや、ディガンさんがただいま言うからなんか人の家に遊びに来たみたいで…」


すると、家の奥のほうから金色の長い髪を揺らしながら美しい女性が出てくる。


「あら、お帰りなさい今日は小さいお友達と一緒なのねあなた」


僕はしばらく見とれてしまった。

金色の髪の人は何度も見てきているし僕も色味は金だ。

でもその金の髪は透き通っているようで、なんだかもう僕の知っている言葉では表せないほどの美しさだった。


「人の嫁をいつまで見てんだガキ」


「あっ!すみません!ただ髪が…」


「あら、気が付いちゃった?綺麗でしょ?」


「はい!絹のようなしなやかさが見ているだけで伝わります…」


「あなたはお風呂に入るときに体を洗ってる?」


「一応堅めの布で洗ってますけど…」


「それだと肌が痛かったり、本当にきれいになったか不安じゃない?」


「確かに…お風呂上りにもちょっとかゆいところがあったりしますね」


「そうでしょ?その時に使うものがこれなの」


リノさんが取り出したものは白い固形の石のようなものだった。

石で体を洗うというのだろうか…


「石?ですか?」


「よく見ててね」


リノさんが白い石に水をかけてこすり始めた。

すると瞬く間に泡が出てきてリノさんの手を包み込んだ。


「えっ…!これは?」


「これは石鹸っていうもので水に濡らして擦ることで泡が出てきてその泡には除菌作用とかきれいにする力があるの」


「へえ…すごい初めて見た…」


「私が作った自信作ですもの、今はもう聖都や帝国に生成方法は教えてるからどこでも手に入ると思ってたけど、まだ見たことない人がいたのね」


「すみません田舎者なので…」


「でも、この町でもこんな高級品買える人の方が少ないの」


僕は初めて見るものの数々にびっくりしていた。

僕の生まれた町は非常に遅れていた。

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平和な世界で武器屋開いてみました! 憂季 @ukiuki02

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