第4話 勇者の仲間

「セルオン君、私達のパーティーに入ってくれないか」


「・・・・・・・・・・・?」


 その場にいた人たちは勇者の突然の発言に戸惑っていた。


「勇者様!何を!!!」


「勇者である者が悪魔と手を結ぶんだと!?」


「これは聞き捨てならない!!!」


 兵士たちが騒ぎ始めた。


「協力だ。彼の力はここにいる皆が知っているはずだ。」


 セリアは問題ないと主張しているが・・・・・・


「勇者、それはどうかと思うぞ。世間では彼のことを悪魔と呼んでいる。そんな彼を俺たちが仲間にしたらどうなると思う?」


「そうよ。いくら勇者といえ、悪魔と手を結ぶのは無理があるよ~」


 勇者の仲間たちは反対、しかし、セリアは怯まない。


「彼を信用できないのは私もだ。しかし、彼の力は頼りになれるでしょう?」


「それは・・・そうだと思うが・・・・・・」


「それに私達は彼に勝てない。勝てない相手に敵意を出すより、力を合わせた方がいい」


「しかし・・・俺たちが納得したところで、皆が納得するわけがない!それはどうするつもり?」


「この世界は私達を必要としている。だから、私達の意見が最優先される。他人がどう言っても私たちが勇者であり、魔物を殺せる雄一の希望に間違いない」


「ただの脅かしじゃ・・・・・・」


 皆が話で盛り上がっているが、そこにはセルオンの意思はなかった。


「いくら勇者だって、悪魔と手を結ぶなど言語道断!バルヘム王国からも意義を唱えるはずだ!!!」


「あれは勇者なんかじゃない!勇者の皮をかぶった悪魔だ!!!」


「そうよ!この悪魔目!!!」


「今すぐ捕えろ!!!教会に渡すのだ!!!!!!」


 兵士たちが暴れようとするが、何故か体が動かない。


 悪魔の技で体の動きが止まっていたのを思い出す。


「そとに誰かいないのか!!!この悪魔たちを捕えろ!!!」


 しかし、外からの返事はない。


「この、悪魔目・・・!」


 兵団長はセリオンを睨みつけるが、彼には脅かしにもならない。


「すごい・・・一瞬で」


 カリムとウェンディは驚く。


「無理やりになっちゃったが、今日から仲間だ。よろしく」


 セリアはセルオンに手を差し伸べた。


 しかし、セルオンは―――


「それは無理。」


「え・・・・・・?」


「力を貸すのはできるが、仲間に入るのはできない」


「それってどういう・・・?」


「だから、俺は貴方達と一緒に居られないということだ」


 まさか、彼自身が拒むとは想定しなかったらしく、この場にいた人が何も言えなかった。


「それはどうしてもというのか?」


「どうしてもだ。元々俺はこの星の人じゃない。俺の目的は魔物を狩るだけだ。」


「そうか・・・・・・」


 セリアはがっかりして、肩を落とす。


「では、帰らせてもらう」


「待って・・・・・・せめて、私だけでも君に礼をしたい」


 セリアはセルオンに首飾りを渡した。


「私の故郷で伝わる魔除けの首飾りだ。私は貴方を悪魔と思わないから、受け取ってほしい」


 セルオンは首飾りをもらい、空に消えた。


 セリアは味方ができた気持ちで、ワクワクしていた。


 しかし、周りの人たちはそう思わないらしい。


 教会は勇者達を悪魔の手先と宣言し、国々から追われる羽目になった。

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英雄になりたくて @masirona

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