第3話 悪魔の正体
「悪魔を殺せ―――!!!」
村の兵士たちは彼に向けて矢を放つ。
しかし、なんらかに塞がれるように彼には届かない。
「ひいいいっ――!!!やっぱり悪魔だ・・・!」
「勇者様どうか私達を助けてください―!」
「どうする。勇者!」
【カリム】と【ウェンディ】は攻撃に備えている。
しかし、彼女は彼と話してみたかった。
『敵意をもった人間を多数発見。【セルオン】様、ご指示を』
「俺の役目は果たしたし、構わない。」
『了解』
そのまま、帰ろうとすると勇者が彼を呼び止めた。
「待って――!貴方は何者だ!?」
勇者の剣は彼に反応しない。
やはり、彼は悪い者とは思えない。
少年には彼女に答える義務がない。
しかし、少年の心から、人間と暮らしたい、人間と話したい、人間と冒険したい、という気持ちが溢れ出て抑えきれなかった。
彼女の質問に答えてしまう。
「俺の名は【ディオ・セルオン】。この惑星【オルビス103】の監視官であり、ウィルスから星を守っている」
惑星?オルビス―?ウィルス?一体、何を言ってるのかさっぱり分からない。
「ウィルス・・・?わ、私の名前は【セリア・ルク・べリウム】この世界の勇者だ。貴方の目的はよく分からないが、とりあえず、私達と話してみないか?」
『却下。早く、戻っていくことを推薦』
少年の腕輪から少女の声が聞こえた。
「ひいいいっ―!悪魔に魂を奪われるぞ!!!」
村人は彼と話す気がないらしい。
しかし、彼女の考えは違った。
「黙りなさい―!勇者の名において彼を傷つけることは許さない!!!これから彼とお話しをする。それを阻む者は私が処分する!」
「危険です――!!!勇者様。どうかお考え直しください!」
「そうです!!!あの悪魔を殺さなければなりません!」
勇者の宣言により、村人たちと兵士たちは騒ぎ始めた。
「私にはある程度の権限があります。もう一度言います。下がりなさい。」
村人と兵士たちは黙り始めた。
そこまで、してくれたのに応じないのは勿体ない。
むしろ、新人類と話すのは初めてでワクワクする。
「分かった。すこしだけなら」
その後、騎士団の拠点地で勇者達と兵士たち、そして少年が集まって話し合うことになった。
「では、これからお話をしたいんだが、その前に改めて紹介するね。私は【セリア・ルク・べリウム】世界を守る勇者だよ。そして、私の仲間の【カリム】と【ウェンディ】」
金髪が輝く美しい女の子だ。
少年と同い年に見える。
「【カリム】と申す。勇者の盾である。」
盾の使い手。
筋肉ムキムキのおじさんだ。
背が高くて巨人みたいな人。
「【ウェンディ・ディスピリア】です。同じく勇者の仲間です」
少年と同世代の女の子に見える。
ダガーを使っている。
『分析・・・結果、【model 112】【 model 115】旧人類の遺産と判断。回収しますか』
「いや、ほっておけ」
少年は腕輪と話している。
「それは何?」
「これは人工知能生命体【アクシア103】俺の相棒だ。」
「じん、じんこうちのう?」
「俺の名前は【ディオ・セルオン】この星【オルビス103】を守る手だ。
「嘘を言うな―!この悪魔め!!!」
聞いていた騎士団が怒鳴り出した。
「下がりなさい―!私たちが彼と話している」
「ちっ・・・!」
「お騒がしてすまぬ。それで、その守り手とはなんだ?」
『却下、マスターには旧人類に対する情報伝達権限がありません。』
「アクシア、俺からの命令だ。情報を渡す権限を」
『・・・了解』
「俺たちは様々な惑星を管理している。その惑星の一つがこの星【オルビス103】だ。つまり、この世界を管理する者だってことだ。」
「世界を管理する・・・?」
言葉には分かったが、理解できない。
代わりにカリムが質問した。
「要するに貴方様は神様ってことですか?」
「信仰に対する志はないが、そう呼んでいる者もいるようだ。」
人々が悪魔と呼んでいるが、一部では彼のことを神様と呼んでいる人もいる。
「それで、貴方様は魔物を倒すために地上に降りているとおっしゃるのですか」
「そう。俺たちは魔物をウィルスとよんでいる。そのウィルスを殲滅するために俺がこの星に派遣された。元々、魔物という存在はこの惑星の生き物じゃない。宇宙から来た怪物生命体だ。」
「うちゅう・・・?」
「空の上のことだ。」
皆、理解できないようだ。
「それで、貴方様はどうして、悪魔と呼ばれているんですか?」
「そんなの知らん」
「ふざけるな!!!この悪魔め!!!30年前、貴様が我々の世界を壊滅させたのは皆が知っているはずだ!!!!!!」
「そう――!悪魔は消えろ!!!」
「そうだそうだ!!!」
「静かに―!」
勇者の言葉に皆黙り込んだ。
「言ったはずだ。ウィルスを削除するのが俺らの任務だと。ウィルスに汚染された人間を殺しただけだ。」
「そんなので納得できるか!!!」
兵士たちが暴れ始めた。
しかし、何故か動くことができない。
『危険性を感知し、動きを止めました。【セルオン様】』
生の人間が敵意を持ち、彼に接近すると目に見えない高熱の障壁いよって溶けてしまう。
だから、彼らが接近する前に捕縛しておいた。
「これで話は終わりだ」
「待って!」
ディオはその場を去ろうとすると【勇者】セリアに止められた。
「取引しないか」
「取引?」
「貴方に協力する。私達もその、うぃるす・・・?を消滅させるのが仕事だから。その代わりに―――私達のパーティーに入ってくれ」
「・・・・・・ん?」
勇者の宣言により、その場の皆が戸惑っていた。
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