第2話 悪魔との再会

船団に戻った少年は人工生命体【アクシア】に問う。


「アクシア、あの人間はなんだ?」


『分析・・・結果、彼女は旧人類の遺産【model 546】を得た人間だと推定』


「まだ、地上に残っていたのか」


『旧人類の産物は残り0.03%。他にある可能性があります。探しますか』


「今はいい、後で問題になったら回収すればいいんだ」


『了解』


少年は椅子に座り、画面をみる。


人々が平和に暮らしている。


その空間を守るのが俺の仕事だ。


俺は【オルビス103】通称、地球を守るために派遣された。


名前は【ディオ・セルオン】


この星に発生する魔物、つまり、ウィルスを消滅させ、星を守ることが俺の役割だ。


発生すると言っても、宇宙からきた魔物が地球に芽を出すってことで、元から存在したものじゃない。


だから地球を守るために俺がいる。


この仕事を始めて50年が立つ。


残り50年間、監視すれば俺も昇級し、本部に入られる。


「50年か・・・いくら年を取らないって言っても長すぎる・・・」


医療の発達により、15歳の体のまま死ぬまで老けない。死ぬと言っても細胞の再生により、500歳以上は生きていられる。


しかし、普通、ウィルスの掃除は人工知能に任せて、冬眠状態で眠るのが一般的だが、俺はそうしない。


なぜなら俺は人間を見るのが好きだから


画面を通して人間を見ていると彼らの幸せが伝わるような気がする。


時々、泣いて、苦しんで、笑って、怒って、生活する人間が大好きだ。


俺は人間にあこがれているのかも知れない。


俺も彼らと暮らしたかった。


しかし、命令上、地上に過剰介入することはできない。


俺の役割はウィルスの掃除だからだ。


『【冬眠状態】をお勧めします。』


「いいんだ、これで。俺はもっと人間を観察したいんだ。」


『了解』


見ていた画面が赤くなる。


『ウィルス発生。スペースから地球の西の座標に大量の魔物が落下中。』


「すぐに準備を」


『了解』


地上では魔物たちが村に襲い掛かり、勇者達が魔物を防いていた。


しかし、敵の数が多く、三人だけじゃ全滅させることができない。


むしろ全滅される場面だ。


「おいおい―勇者様よ!防ぎきれないっぜ!」


勇者の仲間【カリム】が盾で防ぎながら魔物を抑えているが、魔物の数が多くて村に押し寄せてくる。


「村に流れるぞ!」


「私がやる!!!」


もう一人の勇者の仲間【ウェンディ】が駆けつける。


「どうするんだ。勇者!!!もう限界だ!」


勇者達はすでに100を超える魔物たちを殺したが、次々と出てくる。


「私が全部倒す!!!はああああああああああ!!!!!!」


セリアはカリムが防いでいた魔物たちを殺しながら、前に進む。


しかし、無理をしたせいか、敵に刺さった剣を逃してしまった。


「ダメ!!!」


「勇者!!!」


カリムが急いで掛けてくるが、間に合わない。


魔物たちはセリアに歯を向けている。


しかし、その瞬間、天から光の線が降りて魔物たちが次々と倒れていく。


そして、現れたのがこの前の少年だった。


少年は何もしない。


ただ、周りから光の柱が降り注ぐ。


それだけで魔物たちは全滅した。


まさに神だ。


しかし、人々は彼のことを悪魔と呼んでいる。


「悪魔だ・・・!悪魔が降りてきた!!!」


「ひいいいいいい!!!」


「勇者様がいるぞ!!!」


「ああ、勇者様―!悪魔を倒してください!」


彼らは怯えている。


しかし、実際に助けてもらったのは勇者たちだ。


「違う―彼は悪魔ではない!」


「何言ってるんですか!!!あれは悪魔です。30年前に世界を滅ぼした悪魔です!!!」


「え―!?何言っている・・・!30年前っていったい・・・!?」


「貴方様が生まれる前のことだが、当時、10歳だった私ははっきりと覚えています―。30年前、全ての国が消滅し、世界は一度滅んでしまった。たった一人の少年によって・・・・・・あれは――――――――――悪魔だ―!」

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