エピローグ

 あれから一年が経つ。

 年明けは受験や、高校を卒業する直前に二泊三日で沖縄へ修学旅行(ほぼ卒業旅行)に行ってすぐに、卒業式があったりしてとても忙しかった。

 それでも……とても楽しかった。

 高校時代の思い出はよく記憶に残った。




 今日は大学の入学式。

 着なれていないスーツに袖を通したけど、あんまり似合っていないような気がする。

「菜々~。早くしなさい! 雅人くん、来ちゃってるわよ!」

 わたしは必要な荷物を持って、玄関に置いてあった新しい靴を履く。

 玄関のドアを開けたとき、目の前にいたのはスーツに身を包んだ雅人だった。

「雅人。遅くなってごめん」

「入学式の日に遅れるのは、ヤバいぞ」

 藤池大学のわたしは家政学部を、雅人は文学部に合格して、再び同じキャンパスで過ごすことになったの。

「これからもよろしくな」

「うん!」

 一年前はあんなに大変な状況だったのに、今年の春はいつもの日常がやって来た。

 何気ない日常がとても大切だと感じた一年間だったかもしれない。

 これからの未来がどうなるか、楽しみになってきた。

 




 ――これからも何気ない日常を君と。

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あの瞬間、きみは 須川  庚 @akatuki12

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