ヒューマン・カインド・アブソープション

丹沢夏筆

ぼやき

普段使わないコトバで、浅く意味を色付けると、

なんとなし、限定から逃れつつ広がりを感じられる。


また仕事を辞めた。

完全に、やめ癖がついている。

この後どうするの?

そんなこと考えられない、

とにかく我慢ならねえんだ、

交渉の余地もなく、疲れたんだ、と一言で済ませる。

関わる人々に無遠慮に残念を振りまいている。

冷静になって気付く。

疾患がある?わざわざ言われなくてもわかってる。

全部自分で選んでるんだ。

とやかく言われてもどうにもならねえよ。

そう助言が届くのならこんなことにはなってないでしょう。


自分が自分を信用できない、

もう外に出ないほうがいい。

逃げ場があるから言えること。

両親が健在であるから甘えられること。

大人になりきれない子供おじさん、

現代社会の産廃、できそこない。

全部わかってる。


俺が俺である必要がないこと、

耐えられるのは得るものがあるうち、

繰り返しへの忍耐は心の死

そして流した汗と涙で蓄えをつくる。


外れて生き残れば芸術家なのか

他力を求めてさまよう自分への罰か


外れても食える技術屋になりたくて

務めいそしんだ一年間、

全くの別業種に飛び込んで胸を躍らせた。

待っていたのは、今までと何も変わらない、

椅子取りゲームの連鎖だった。

それが現実、夢から覚めて、

これは俺自身の問題で、

どこにいこうとも直面し続けることに気付いた。


根底から改善する必要がある

それに取り組むことが一番大切だ

ねばならぬことはなし、と

自分に言い聞かせて、ようやく

それに直面できていること、

今はそれに感謝できている。


いつも酩酊の果てに辿り着くのがこのサイトで、

思考なく手だけを動かし産まれた俺という残滓、

アップロードするという行為の意味、

メモ帳で残すと、その文字列は瞬間的に、

いっさいの意味を失い、消える。

あっというまに消去してしまう。

数多くのいびつな習わしの最中、

これからも生きていくのだろう。


サイケデリクスは言語脳、自我からの解放で、

アフターグロウをそこに費やすこと、

無意味に意味を付加して、

どうにか繋ぎとめて

今日を逃げ延びたことに喜んで

ネット宗教の難民に自ら成ってゆく。

猫は笑わない。


本音は、一人や二人、通りがかってくれた軌跡が嬉しい。

それもまた嘘。

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