外道橋

安良巻祐介

 両脚鰐かいなしの刺身をどうしても食いたくなって、箱根先の外道橋の袂へ天狗蓑を被って忍んで行ったけれど、目当ての野良割烹はついに当局に見つかったものか、黒い骨だけを残してすっかり焼かれてしまっており、禁忌食いの期待に膨らんだ腹を抱えたまま、橋のたもとで牙を剥いて、月へ向かって咆哮した。

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外道橋 安良巻祐介 @aramaki88

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