『異本』と呼ばれる特別な本を集める物語。
現代世界が舞台ながら、その空気感はまるでファンタジーの様です。
こちらの作品は第6回カクヨムWeb小説コンテストの中間選考を通っていたり、
ノベリズム大賞では選考を通った上に主催側から言及を頂いているほど優れた作品です。
内容も実に美しく、キャラクター同士の掛け合いから始まるのが印象的でした。
話が進むにつれ世界観や目的が分かっていくという構成が実に素晴らしく、それだけで世界観にどっぷりと浸れます。
また本に関する知識も豊富で初版に関する出来事が話のキーになっていたり、フィクションながらベルリン崩壊といった実際の国の歴史や文化も作中に登場するなど、現実世界の出来事にも造形が深く描きたいものがしっかりと伝わる内容です。
シンプルかつ洗練されたタイトル、そして本を開けば仕掛け絵本のように溢れる魅力の数々。
是非貴方も一読してみては如何でしょうか。
私も陰ながら応援しております。
もっと早くにレビューを書くつもりでした。
ついつい物語を、じっっっくり味わおうとしていたら、もう月替わりに……m(__)m
子どものころ、学校の図書館が大好きでした。
背表紙が、ぎっしり詰まっている棚。
そこには魔法と夢が、スリルとロマンスが溢れんばかりに満ちていた。眺めるだけで幸せな気持ちになります。
本の価値って、なんでしょう?
知識。思想。文化。
見たことのないもの。行ったこともない場所。会ったことがないひと。
本には、あらゆるものが、収められている。
棚に並ぶ、それらを、手に入れることは、たまらない楽しみです。
まして、それが特別な力を持った『異本』なら?
世界中を旅する情景は生き生きとしており、謎めいて魅力に溢れた登場人物たちが本を巡って闘う。時に助け合い、力を知るからこそ、それを制御しようとする。
つぎに出てくる本は、誰が、どんなふうに使うのだろう?
そうです。
この作品の『異本』は、“読む”だけではないのです。
なんなら国を亡ぼすことも出来る。
人を殺めるなんて、簡単なこと。
どうやら物語は、とても長いらしい。
私が読めているのは、まだまだ序盤。
でも、作者さまには申し訳ないのですが、私には、この作品はゆっくりじっくり丹念に読み進めていきたい、あたりめのような(ここ半年のブームなんです)物語なのです。
なんだかレビューっぽくない文章で、お羞ずかしい。
でも、カクヨムで、こういった、流行を超越した作品に出逢えたことは、嬉しいかぎりです。
たとえばエンデのファンタジーのように、絹張りの装丁で出版されたら、たぶんわたくし鼻から出血します。