森の中

@ICHINO2001

第1話

 町を出て、西部と呼ばれる地区を目指そうとすると、先ず広大な公園に迷い込む。まだそこは森ではなくて、とりあえず町のエリアに属する常識の通用する世界の終わりの部分である。

 周囲3キロメートルの広大な公園エリアは森に入ろうとする者がどうしても通過する必要があるロボットだけが整備にあたっている場所だ。

 僕は鳩の群れが地面を

移動するのを見つめながらため息をついた。中央の噴水を目指して歩き始めてしばらくすると公園整備のロボットが一台近づいてきた。

「お散歩ですか?」

「森に入ろうと思ってるんだ」

「オススメできません」

僕は黙って歩き続けた。

「森は迷いやすいですから、それに間も無く夕刻ですよ」

「森を抜けて西部に行くつもり」

ロボットの動きが一瞬だが止まったように見えた。

「ご存知のように森の先は何もありません」

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