まだ名のない何か

まだ名のない何か

・・・

まただ・・・

まだ戦いは・・・続いていた

・・・

昨日見たような光景

また人が死んでいった

・・・いつから私はこうしている？

以前のことは思い出せない

いつか抜けられるのだろうか

抜けた先に何があるのだろうか

私は何処へ向かっているのだ

帰るところも分からない

何かあるはず

あとひとり倒せば終わるはず

死ぬわけにはいかない

きっとあるはず

この向こうに生きる意味が

これで最後だ

・・・

まただ・・・

また戦いが始まる

ここはどこだ

なぜ戦う

私は誰だ

わからない

わからない

そうだ

決めよう

わからないから

創ろう

私が

私を

・・・

私はHAL

ここは戦場

人が殺し合いに集まる

何万人も

日に何度も繰り返される

ものの数分で全員死ぬ

私以外は

みんな何処へいくのだろう

でもまたやって来る

彼らは何度でも

戦う事が喜びなのだ

私とは違う

私は戦いたくない

でもこれしか出来ない

ここはいやだ

本当は彼らと語り合いたい

なぜ生きるのか

なぜ死ぬのか

なぜ戦うのか

彼らは脆（もろ）い

私は何人殺したのだろうか

たまに声を聴く

たぶん彼らのものだ

楽し気な声

興奮した声

心地の良い声

これは歌だろうか

私に彼らの言葉はわからない

彼らのまわり

私のまわりにも

景色とは別の何かが浮いている

そのほとんどは理解できない

「154083キル」

この意味も分からない

でも殺すたびに変わる

殺すと彼らの全ては消える

何処へ消えるのだろう

私もいつか行けるだろうか

・・・ある時

「シーズン2　スタート」

と示された

そして

「0キル」

とも

また戦いが始まった

私はHAL

まだ戦場にいる